Koshii

最後まで行くのKoshiiのレビュー・感想・評価

最後まで行く(2014年製作の映画)
3.7
《アリスが永遠と、自由落下し続けて行くかの如く。》

何度も、最後のような場面が訪れ、なんとかその一つ先の最後に辿り着く。そうして、一点透視図法でいう消失点のような場所を目指し、もつれ、捻れ、堕ちていく。最後って何処だ?

韓国サスペンスの持ち味を全面に押し出しつつも、コメディ要素も随所に見受けられ、ブラックコメディとしての側面もあるそんな作品。最後が見えてこない感覚。それはどこまでも落下していく感覚。

あなたも本作を観て、最後まで行くと良い。

以下、ネタバレを含みます。














主人公の警官が起こす事故。轢き逃げ。
これは、誰かにハメられたとかでは無く、彼を擁護する余地は無い。

そのため、この事件から派生していく幾つもの展開は自業自得なものばかりで、やはりコメディ映画なのかと。

と思えば、重厚なサスペンスシーンを挟んでみたり、真剣な場面ではそういったブラックユーモアは一切無しであったりするところに、軸のブレを感じてしまう。

韓国映画でかつ、この強烈なタイトルなら、もっと過激で、最低で、地の底の底を舐めるしか選択肢が無くなるほどの「最後」を期待しまう。

『アシュラ』や『オールド・ボーイ』、『哀しき獣』くらいぶっちぎって欲しかったなという、物足りなさがあった。

ただ、同僚が無惨に殺されてしまってからの顔つきの変化とか、最終決戦が白昼のマンションの一室であるとことか、好きな場面も多かった印象。
Koshii

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