ふき

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイアのふきのレビュー・感想・評価

3.5
フィクションにおける「いわゆるヴァンパイア」が実在して、それなりの数が現代社会に潜伏している。そういう前提で、その生活に密着する体のフェイクドキュメンタリー作品。

様々な作品のヴァンパイアに、ヴラド三世という史実、更には狼男まで登場する。だがギャグ自体はあくまで常識的な知識で笑えるパロディに留まっており、それゆえ個々の元ネタの知識があっても、映画の面白さは変わらない。
つまり、「真面目な話をしてても十字架を見たら急に怖がり出すゲラゲラー」とか、「狼男が変身したあとはそりゃ全裸だよねゲラゲラー」とか、以上にはならない、ということだ。
逆に、どうみても『吸血鬼ノスフェラトゥ』のオルロック卿なのに、名前はピーターで年齢は八〇〇〇歳とまったく関係なかったり、史実のヴラド三世を元にしたらしきヴラディスラフは、史実とまるで違う人生を送っていたり、作り手が元ネタを生かし切れていない点がガンガン見えてきて、作品世界に入れなくなってしまう。

見ている間の楽しさ(Funny)はあるが、見終わった後にも残る奥深さ(Interesting)はない、良くも悪くも大衆向けのコメディ映画だった。
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