Yu

ミス・シェパードをお手本にのYuのレビュー・感想・評価

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ハリポタ教授陣の同窓会映画。
…ではなく、車上暮らしの老婆と劇作家との不思議な関係を描く会話劇。『ほとんど本当の話』。

ウィットに富んだ会話、コミカルな演出、劇中音楽、全てが綺麗にまとまっており、色んな人に勧めたくなる作品です。エンドロールでは余韻を噛みしめながらスタンディングオベーションしたくなります。

自由に生きているように見えて過去に囚われ続けるミスシェパード。劇中で言われる『さすらい人の高貴さ』にふさわしいマギー・スミスの重層感ある演技は圧巻です。
マギーを想定して脚本が書かれたそうですが、彼女でなければミスシェパードの魅力は発揮されなかっただろうと本気で思います。

今作では劇作家ベネットの分身が登場し自分自身と対話するシーンもあるのですが(要は独り言)、ミスシェパードとの出会いを通して生き方を見出していくラストも良かった。ミスシェパードの物語でもあり、ベネットの物語でもあったのですね。

ベネットだけでなく周辺隣人たちも浮浪者であるミスシェパードに優しいのですが、自分がその立場だったら果たして優しく接する事が出来るだろうかと考えると、社会問題的な一面がある映画だったなあと思います。そういった意味も含めたこの邦題だったのでしょうが、そちらは本筋ではないのでミスリーディングな様な気がします。私は原題の方が合っていたと思うしそちらの方が好み。
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