岡田拓朗

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

4.1
何かを得るためには何かを捨てなければならない映画として王道の等価交換を、こんな壮大な形で観たのは初めて。

アクションやそれぞれのMARVELシリーズのキャラや設定がおもしろくて楽しめるのは言わずもがな、必ずしも大多数の正義が勝つわけではない現実の厳しさを突きつける作品としても見応えは十分あった。

こういう作品はなんやかんやで最後には大多数の正義(いわゆる英雄や善人)が勝って、最後に正義は必ず勝みたいな構図で終わることが多い中、まさかあんな終わり方をするとは思っていなかった。

なるほど、キャッチフレーズの「最強の、終わりへ」とはそういうことだったのかと。
ここは語りすぎるとネタバレになるので、この辺で終わっておきます。

自分はアベンジャーズを観たのも今作が初めてだし、MARVELもそこまで詳しくはなく、地上波で放映していたスパイダーマンやアイアンマンをちょこっと鑑賞したくらいだったので、それぞれのキャラの特徴などの最低限の前知識を入れて鑑賞。

正直それくらいの人でも十分に楽しむことができた。
上記で記載した等価交換やアクション、キャラ、大多数の正義は必ず勝つ理論を壊す展開、に加えてアベンジャーズ側とサノス側の双方に心がある設定とどちらにも世界をよくしたい、救いたいという意志があることが今作により深みを与えているのではないか、と思う。

現実世界ではあんなことが起こるわけはないであろうが、自分たちにとってと言うべきか人間にとってと言うべきか大多数の人にとってと言うべきか、あらゆる◯◯にとっての最適な決断はそれ以外にとっては誤った決断になり、それがまかり通ってしまうことは、規模感が大きければ大きいほど、恐ろしい事態に発展する。

日本で言うなれば地下鉄サリン事件や浅間山荘事件、海外を見ると様々なテロや戦争、今後はAIなどのテクノロジーが進化することで、その争いのレベル感はどんどん規模が大きくなることが予想される。

そうなったときに、何を指針に動くべきなのか、を考える時代に入ってるきていることを、問うているような映画でもあったように思えた。
こういうのは、MARVELという深くて素晴らしくおもしろい影響力のある擬似世界を創り上げたからこそ成せる業であり、それがこの終わりの形だと思うとやはり今作は鳥肌モノ。

結末はそこまでMARVELのことを知らない自分でも悲しい気持ちになったので、MARVEL好きにとってはわりと悲惨かもしれない。
でも現実をこんな壮大なエンターテイメント映画の中でも突きつけるという意味では、今作はやはり傑作と言えるし、Filmarksの評価が未だに4.4というのも納得できる。

あと、レディプレイヤー1もそうだったけど、1つの作品に様々なものを詰め込みまくって、それを相乗効果にして盛り上がるように仕上げるのは純粋にすごい。
個人的にはその観点で観るとレディプレイヤー1の方が好きだけど、こんな多くのキャラやヒーローを一つの作品で違和感なく味わえるのはわりとそれだけで至福でもある。

MARVELという括りではあるが、それでもそれぞれの作品の個性の強いキャラクターたちを寄せ集めて、それを一つの世界にして、そこに壮大なストーリーを創る。(ゲームで言うところのキングダムハーツ?)
その発想も凄いし、それを創り上げちゃうのがやっぱり世界は違うなーと感じた。

レディプレイヤー1と並んで、SF映画に対しての自分への価値観を揺るがせてくれた作品であり、MARVELという世界観をもっと知りたくなったので、時間を見つけてフォロワーさんが教えてくださったMARVEL作品の見方の順番をもとに、鑑賞してみようかなと思います。
(そうすれば、より最後のあの形の意味がわかるかもしれないですし!)

今年は洋画がなかなか豊作。
というよりも自分がこれまであまり洋画を鑑賞してなかっただけ感もあるけど。笑
岡田拓朗

岡田拓朗