emily

家族の波紋のemilyのレビュー・感想・評価

家族の波紋(2010年製作の映画)
4.3
長男のエドワードがボランティア活動のため、1年間アフリカに行くことになった。その前に、シリー島にある別荘で2週間の夏のバカンスを過ごすことになった家族。姉のシンシアと、母親のパトリシア、父親は姿を見せない。そこに料理人のローズ、絵画教師のクリストファーもやってくる。終始イライラしている姉が爆発することで、徐々に家族の抱えてた問題が明るみに出てくる。

美しすぎる風景の映像美を固定カメラで遠くから撮ってる映像が続くので、ドキュメンタリーのような感じ。暗めの自然光の映像、自然の音、音楽もほとんどなく、風の音や波の音、自然の音を不自然なまでに大きな音量で撮られているので、この家族が自然の中に溶け込む、どこにでもいる家族であることを実感する。

毎日同じようで、違う景色。同じ景色でも日々変化していく。それを切り取るように、絵を描く。

家の料理人と仲良くなるエドワード、人を概してはもちろん食べ方や対応の仕方、座る位置など、日々のちょっとした動作やしぐさでその人の性格が良く現れるように、しっかりと人物像が作りこまれている。

不在の父との電話・・固定カメラによるに溶け込むような映像美、ここでは母親の素直な気持ちが出る。娘にも、息子にも言えない心の内が、姉のイライラや、エドワードとのぶつかりでたまってたものが出る。

でも正直起こってる事はどこの家族にでも起こりゆることで、
言い合いや、なんか気まずい感じ、沈黙が怖くて、なんかしゃべっちゃう感じとか、どこの家族にでもあることがふつうに起こってるだけなんです。

それを自然美や自然音の中に溶け込むことで、より自然な家族像をのぞき見してる感じになる。家族なんてこんなものかな。同じことでぶつかったり、成長しなかったり、にくいけど、それも含めて全部ゆるせたり、自然な関係。
風や空気のように居るのが当たり前の存在。
でも、なくなったら困るし、居場所でもある。

そんな単純なことを、壮大な映像美で見せつけてくれる。
絵描きの哲学的な言葉も印象的だったり、何もないようで、確かに時間が流れて、後々考えると家族の何かになったり、良い思い出になってりするんだと思う。
emily

emily