みかん

スポットライト 世紀のスクープのみかんのレビュー・感想・評価

4.0
2002年、ローカル新聞社『ボストン・グローブ』の記者が、組織ぐるみで隠蔽し続けてきた数十人の神父の児童への性的虐待事件を暴き世界を震撼させた、実話に基づく社会派ヒューマンドラマ。

最近もニュースになっていた、世界各地でのカトリック教会の神父による児童への性的虐待事件。

事件が表面化して大きなスキャンダルになった発端は、この記者たちが強大な権力に屈さずに綿密な調査や取材を重ね、様々な苦悩の果てに、その恐るべき実態を報じたことによるもの。

改めて、真のジャーナリズム精神や信念、使命に奔走し、その大業を遂行した記者たちには尊敬の念しかないです。

ある1人の神父の児童への性的虐待事件から、その真相を追ううちに、とんでもない事実が手繰り寄せられてくる。

当の神父は一回でなく何十回も事件を起こしているが、事件を起こすたびに大きな力によって揉み消されている隠された記録。

どんな子供を狙って犯行に及んでいるかの卑劣な手口。

しかも、どうやら事件を起こしている神父は他にもいるようで…。

それに、神父やカトリック教会だけでなく、異なる複数の権威ある勢力も加担していなければこんなこと黙殺出来ないはずで…。

などなど、覗き込んだ事件の、あまりの闇の深さに驚愕でした。

そして被害者の筆舌しがたい心の傷の悲惨さに、心がとても痛みました。

このような残酷な事件、許されるはずないし、組織の腐敗ぶりに愕然としました。

一方で、真実を暴くことで、そんな大罪を神父たちが犯してるなんて思うわけない、敬虔なカトリック教徒も大いに裏切られることになるという葛藤。

また、カトリック系の人が多い地域なので、新聞社の購読者の半数以上がカトリック教徒でもあり、新聞社の経営も自分たちもどうなるかわからない危険。

しかし、自己保身に走らず、読者を傷つけることになってしまっても、伝えなくてはいけない真実がある。

派手なアクションシーンが無くても、ストーリーが非常に濃く、証拠を集めて圧倒的権力という巨大な敵とペンで闘うヒーローたち。

記者たちがとてもカッコよく、正義や勇気、信念など深く考えさせられました。


★ボストンにあるローカル新聞社『ボストン・グローブ』の地元特集記事コーナー『スポットライト』担当の調査報道記者チームに、新編集長が着任した。

過去に記事で取り上げたけど、うやむやにされた1人の神父の児童への性的虐待事件をチームで追っていくことになる。

しかし、被害者や、被害者の弁護士への取材・調査を進めていくうちに、個人の犯罪ではなく組織ぐるみの犯罪ということが判明し、、。
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