あまね

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅のあまねのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ハリーポッターの新シリーズ。
とは言っても、シリーズを観たことがない人でも楽しめる物語になっている。
知っていればより楽しめるが、知らなくてもまったく困らない。
この作品がシリーズ初鑑賞でも、違和感はないだろう。

映像がとても綺麗で鮮やか且つ迫力がある。
そして、とにかく魔法生物が可愛い! 普段そこまで動物萌えすることはないのだが、今作は動物たちに目を奪われた。
翼で嵐を巻き起こす《サンダーバード》が一番のお気に入りだが、モグラをモチーフにした《ニフラー》の愛らしさも捨て難い。
前半、主人公であるニュートが魔法動物と触れ合う場面は、トランクの中の魔法空間ということもあって、とても幻想的でただひたすらに目を楽しませてくれた。

また、魔法の映像もとても綺麗で迫力がある。
個人的には戦闘等の迫力ある映像よりも、壊れたものを直していく場面がとにかく好きだった。
時間を巻き戻すような画は、魔法のあり得なさを際立たせていて、とても幻想的だ。

物語は分かりやすく単純で、謎解き要素はあるものの特に頭を捻らなくても前に進んでいく。
前半はどちらかといえば映像を楽しむ展開になっているようにも感じられ、些かくどい気もした。
確かに魔法生物は可愛いし映像も華やかなのだが、思わず残り時間を確認してしまうほど。
後半に入って物語が進み出すと、素直に物語に入り込むことができた。

最初から物語が加速していかないのは、偏に主人公のキャラクターにあるのだろうと思う。
ニュートは冒険心溢れる少年でも、正義感溢れるヒーローでもなく、動物を愛する学者肌の青年だ。
学者にありがちな浮世離れした雰囲気と、魔法生物中心の視点。トラブルは起こすけれど、物語を回していくような迫力ある野心や事件ではなく、彼はあくまでも巻き込まれる側の人間なのだ。
そんな彼が巻き込まれていくまでが描かれているから、少しまどろっこしい感じがするのだと思う。
でも、私はニュートみたいなキャラクターが好きだ。
特にファンタジー、魔法といった世界の主役がこういうお兄さんっていうのは、味があっていい。

それと、相棒役(?)がこれまた味のあるおじさんで、イケメンじゃないのが良かった笑。
パン屋を開こうとするも資金不足で融資を断られる、うだつのあがらない中年男。しかもとことん巻き込まれ属性で、魔法を使えない《ノー・マジ》であるにも関わらず、ニュートを助けて大冒険する羽目になる。
コミカルで、でも時に感動的で、いい具合にゆるいこの世界観にばっちりハマっているように感じた。
どう考えてもイケメンじゃないこのおじさんが、最後の方ではイケメンに見えてくる笑。

闇が深く救われない人たちがいる一方で、映画そのものの後味は良い。
ニュートとその周りの人たちに関しては、この先の未来が明るく楽しいものであることを予感させてくれるラストだった。

但し、ゴキブリを素手で捕まえようと必死になる場面は……個人的にダメ! ゴキブリは……あんな風に捕まえられない!
あまね

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