こたつむり

プロジェクト・アルマナックのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.9
♪ 「到着 5'02”前」 針は君を指してる
  加速せよタイムマシーン 君に会いにゆく

いわゆるタイムトラベルを扱った物語。
なので、少し疲れます。理屈では因果律を考えて熱暴走しそうですし、感情では“都合が良すぎる展開”にヒヤヒヤして心臓が止まる寸前。もう、ぐったりです。

でもね。それでも良いのです。
何しろ、主人公たちが真っ当なんですよ。時間旅行で宝くじを当てようとしても、試験で良い点数を取ろうとしても、足元を見失いません。“気遣い”を忘れないのです。

だから良いのです。
青春は甘酸っぱいものなんで思わず唇が窄みますが、それを抑えてくれるのが“清涼感”。心に触れる爽やかな風が、はるか彼方の忘れ物を思い出させてくれるのです。

また、物語としての説得力も見事でした。
例えば、主人公はマサチューセッツ工科大学を目指す秀才なので、理屈の塊。目先の欲望に我を忘れません。

しかし“恋”だけは別腹。
理性的で優しい気持ちを忘れない彼でも、大好きな彼女のためなら人生の操縦を誤ってしまう…うん。それは仕方がない。それが男です。おじさんは分かるぞ。分かりすぎるぞ。

あと、女子に対する距離感も絶妙でした。
そもそも、主人公たちは男子三人+女子一人の組み合わせなんですが、その紅一点は主人公の妹なんですね。いやぁ。とてもリアリティ溢れる設定じゃないですか。これが幼馴染だったら、それだけで勝ち組ですからね。それじゃあ、物語は成立しないのです。

まあ、そんなわけで。
僕たちがタイムマシーンを作る夏休み。
他人の過ちを赦すことができる“優しい人”向けだと思いますので、甘酸っぱさを思い切り吸い込んでも大丈夫です。

そして、紳士諸君に朗報。
先ほど書きました紅一点の妹ちゃん。
さり気なく“目の保養”をぶち込んできますので、隅々まで集中した方が良いです。勿論、紳士ならば誰だって持ってるスキル。大丈夫ですよね。
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