岡田拓朗

怒りの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.4
邦画で名作が多く生まれた今年の中でも一番ハマった映画。
邦画はこういう作品が真骨頂なのではと思う。

原作未読。
信じることで裏切られたときの失望感、疑うことによって生まれる後悔。
どれだけ愛する人もただ受け入れるのは難しい。
怒りへの転換点、人の表と裏、葛藤がリアルに描かれていた。
まさに「人間そのもの」がリアルに表現されていた。
犯人が見つかるまでのドキドキ感のあるサスペンスでなく、その過程でのそれぞれのリアルな人間の描写に嫌な共感と胸を刺される感じ。
時には知らないフリをしないと、平穏を保てない現実があることを見せつけられた。

展開もよく、同性愛や沖縄基地問題、派遣など、タイムリーな政治的問題も織り込んでて非常に見応えある映画でした。

また、綾野剛と松山ケンイチと森山未來…疑わなかったら誰にも見えないし、少し疑えば3人の中で誰にでも見えてくるあの写真は、作った人(篠山さん)が天才だなと思いました。

みなさん、演技がすごくよかったのですが、特に森山未來と宮崎あおいが個人的に本当にたまらなかった。

誰も信じたくないし、誰も疑いたくない。
ただ、その人がどんな人でも愛せて受け入れることができたら楽なのであろうか。
いや、そんなこと不可能なのか。
色々と考えさせられるこの映画はもう一度観たくなる。
岡田拓朗

岡田拓朗