ルサチマ

THE COCKPITのルサチマのレビュー・感想・評価

THE COCKPIT(2014年製作の映画)
4.7
2回目(2019年5月8日@アップリンク吉祥寺)

真正面から捉えたカメラと暗闇の部屋でスクリーンを前にする我々もまたCOCKPITに乗船する鏡のような存在かもしれない。

MPCを前に音を作る(=play)OMSとその後ろで遊ぶ(=play)する他のクルーの間で分断がなされる。Hi'Specへの顔のクロースアップからの再び真正面へ画面への切返しや、カーブデスマッチという名のナイキの箱を用いたゲームでのスプリットスクリーンはこの視線の分断を明らかにする。

しかしアフレコでのBIMを真横から捉えるカメラとビートを刻むOMSの横顔は「同じ」画角で捉えられ、OMSの後ろで自由気ままに振舞っていた彼等もOMSと同じクルーの職人であることを平等に示す。

フリースタイルでBIMが自分の履歴をラップするとき、カメラはBIMだけを切り取る。彼等は個であり、たまたまこのCOCKPITに乗船しているようにも見える。

故にこの部屋でのミッション→音に一つの終わりが訪れる瞬間OMSは全ての役割を果たしたかのような疲弊しきった充実感と虚無感etcとともにクロースアップがなされ、ようやくクルーは川へとバラバラに降り立つ。

そして彼等個々の分断に加えて、時間の分断がこの映画では同時に起こる。

一つの曲の流れを作る中で倦怠を纏いながらも時間を進めるために編集でバサバサと時間が切り貼りされる。
この時間の分断がアパートの一室に流れる時間だけが我々の生活の時計の針の速度と異なるかのように一時はテンポよく、一時は時間がひたすらに伸びているかのような錯覚を起こす。

時間がひたすらに伸び縮みされることに疲れ、後ろのクルーたちが遊ぶことすらやめて寝そべるとき、OMSだけは時計の代わりに自分のリズムでビートを刻むことで一人でもなおMPCへと向かえている。


1回目(2018年11月9日@アンスティチュ・フランセ東京)

本当に面白い。
OMSBにちょっかい出すBIMが編集中にちょっかい出すダニエル・ユイレとジャン=マリー・ストローブみたいで可愛い。
OMSBのビートの動きマジでエグい。正面カットで機械弄りまくってる指の動きを長回しで写してから、90度真横から切り返ししたくなる気持ちわかる。
動物の音付けまくってんのも神。
「砂漠いきて〜〜」て全然関係ない一言に「今度行こうね」て言うの素晴らしい。
スーパーピックホップ。
creative drug storeのパーカー着てアンスティチュフランセ行けばよかった。
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