このレビューはネタバレを含みます
ほんとに何気ない事だけど、缶コーヒーの上に誰かが置いてくれた一個のアメちゃんになんだか救われる日もある。
”あなたともっと話がしたい”
という言葉をかけてくれる人がもしいなかったら?
人を殺すのも人だし、
救うのもまた人だ。
そんなの口に出すことも恥ずかしいくらい誰もがわかりきっていることだけど、
それを、こんなにストレートに渾身の力を込めて描こうという人は意外と少ない。
また、
ゲイの弁護士とある悲劇的な過去を持つ作業員、二人の主人公が対峙するシーンを見て感じたのだけど、
この映画は「物語の外側に想像力を働かせよう」ということも言っている気がした。
絶望の淵にいる作業員にとっては冷徹で血も涙もない弁護士にしか見えないけど、弁護士サイドにも”物語”がある事を私たちは知っている。だから単純な悪人として弁護士を見れない。
これは見方を変えれば、この映画に語られていない「物語の外側」を想像する事の大切さも教えてくれているとも言える。
(例えば保険証の申請で作業員を邪険に扱うあの区役所の職員も、この映画の中では描かれていない”物語”があるはず。)