Aoi

ビューティー・インサイドのAoiのレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
3.9
毎日姿が変わってしまう男性と彼の内面に惹かれていく女性のラブストーリー

主人公のウジンは目覚める度に別人に変わってしまう男。誰にも理解されない孤独を抱えていたウジンだったが、ある日、イスという女性に一目惚れする。三日間寝ずに同じ顔でデートすることに成功し、イスもウジンを好きになる。しかし、つい眠ってしまったウジンは全く別の姿になってしまう…。


「朝、目が覚めたら別人になっていた」という設定は色々なところで見られるが、本作は100日あれば100人違うという斬新なパターンだった。
しかも老若男女、国籍もランダムな別人。話す言語や体質まで変わってしまうのが面白い。日本人として出演した上野樹里は存在感を放っていた。特にラストシーンはどうやって撮影したのか気になる。

ウジン自身も知らなかった「もし寝なかったら?」「違う言語を話すときは?」などの“変身システム”が明らかになっていくのが面白かった。

主人公を主人公たらしめるのはひとり語りの“声”のみ。主人公の姿が定まらないがために、常に変わらないヒロインのイスが引き立って美しく見える。

毎日姿が変わる人間と暮らしていく実際的な問題も丁寧に描かれていた。外見と内面の不一致がウジン自身だけでなく、周囲にも不和をもたらしてしまう。お互い思い合っているのに、うまく行かない感じが切なかった。

ファンタジックな設定を受け入れてしまえば、ラブコメの要素を楽しみつつ、内面を愛することの本質を考えさせられる深い映画。
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