ひでやん

はじまりへの旅のひでやんのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.9
文明社会から切り離された森の中で生活する家族が、母親の死をきっかけに旅に出るロードムービー。

文明の利器に埋もれ、情報媒体に振り回され、右へ倣えで足並み揃え、流行り廃りの消費社会。権力による支配があり、宗教、人種、領土による戦争がある。

世界は醜くて不条理だ。さあ、みんなで森に行こう!……それはそれでしんどい。一定期間の体験なら良いが、生活となると正直しんどい。

家族に抱いた憧憬は、結局無い物ねだり。向こうの森は青く見える。

知識は豊富だが社会を知らない。哲学者の言葉を知っているがコカコーラを知らない。体を鍛えても他人との交流がない。

やり過ぎなんだよな…。子を守る父親というより、服従させる独裁者に思えてしまう。終盤で自らの過ちを認めた事が救いだった。

家族の常識は世間の非常識。言葉を交わせばズレが生じる。家族は世間知らずの変人ばかり。しかし社会もだいぶん狂ってる。常識ってなんだろうと考えさせられる。

「希望はないと思うと確実になくなる」

息子が言ったチョムスキーの言葉は名言だ……

チョムスキーて誰やねん!

ちっちゃい娘がたまらなく可愛かった。

我が子を見る父の優しい眼差しと、息子に贈った言葉にグッときた。

「日々、人生最後の日と思え。大胆に挑戦して楽しめ、すべて一瞬だ」
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