文明社会から切り離された森の中で生活する家族が、母親の死をきっかけに旅に出るロードムービー。
文明の利器に埋もれ、情報媒体に振り回され、右へ倣えで足並み揃え、流行り廃りの消費社会。権力による支配があり、宗教、人種、領土による戦争がある。
世界は醜くて不条理だ。さあ、みんなで森に行こう!……それはそれでしんどい。一定期間の体験なら良いが、生活となると正直しんどい。
家族に抱いた憧憬は、結局無い物ねだり。向こうの森は青く見える。
知識は豊富だが社会を知らない。哲学者の言葉を知っているがコカコーラを知らない。体を鍛えても他人との交流がない。
やり過ぎなんだよな…。子を守る父親というより、服従させる独裁者に思えてしまう。終盤で自らの過ちを認めた事が救いだった。
家族の常識は世間の非常識。言葉を交わせばズレが生じる。家族は世間知らずの変人ばかり。しかし社会もだいぶん狂ってる。常識ってなんだろうと考えさせられる。
「希望はないと思うと確実になくなる」
息子が言ったチョムスキーの言葉は名言だ……
チョムスキーて誰やねん!
ちっちゃい娘がたまらなく可愛かった。
我が子を見る父の優しい眼差しと、息子に贈った言葉にグッときた。
「日々、人生最後の日と思え。大胆に挑戦して楽しめ、すべて一瞬だ」