りりー

はじまりへの旅のりりーのネタバレレビュー・内容・結末

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

こういう作品を観ると、アメリカ映画ははきちんとしているなと思う。ベンが子供たちに強いていることは、悪気はなかったとしても虐待だし、その事実に触れず”家族愛”に回収されてしまったら嫌だなと思っていたのだけれど、第三者からきちんと指摘が入り、ベンが過ちに気づくシーンがあって安心した。いくら自分の子供であっても、他人の人生を丸ごとコントロールするなんて絶対にできないし、許されないことだ。でもベンがあれほど頑なになっていたのは、きっと妻/レスリーを救えない無力さや、絶対的な親でなくてはという重責によるものだったのだろう。そう考えると、多少甘い気もするあのラストも、ベンに訪れた救いのように思える。

母親の死を知った子供たちは、初めのうちこそ取り乱すけれど、それでも母親の最後の願いを叶えることに意識が向くのも印象的だった。逃避でもあるだろうけれど、きっといつかこの日が来ると覚悟していたのではないかな。幼い子供たちの心境を思うとつらかった。それでも、彼らが母親にちゃんとお別れが言えて良かったと思う。良いシーンだった。
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