こたつむり

グレイテスト・ショーマンのこたつむりのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.9
ベリベリベリー最高でした。
当初は劇場で鑑賞する予定ではなかったのですが、耳を塞いでも伝わってくる興奮の熱。そして、批判的な意見。この両極端な評が僕の好奇心に火を点けたのです。

結果、劇場で観て良かったです!
いやぁ。賛否両論全ての感想に感謝ですね。きっと、絶賛の声だけならばスルーしていたでしょう。忌憚なき声だからこそ、僕のような鈍重な輩も動く好例。大切なのは魂ですからね。

そして、本作が肯定しているのも人間、つまり魂。それを最高の楽曲でグイグイと肯定してくるのですね。見えるものだけに縛られると見逃してしまう真実。それが音の連なりの向こう側から伝わってくるから…涙が乾く暇がないほどに震えるのです。

しかし、本作の中にある小さな違和感。
それは「差別について許容しているのではないか」という疑い。でも、人と人が違うのは当たり前。そして、それを「違う」と認識するのも当たり前。最初は好奇の目で良いのです。大切なのはその先。

その“違い”を厭うのか、是とするのか。
差別とは、人との違いを“否定”するから生まれる悪感情。だから、僕たちに出来るのは違いを“否定”しないこと。他者ではなく自分自身で“否定”してしまうのは別次元の話なのです。

そして、本作が素晴らしいのは、それを踏まえて「最も崇高な芸術とは人を幸せにすること」という思想が根底にあること。つまり、人を楽しませるときは、場合によって嘘も許されると言っているのです。そもそも、「本作は実話だ」なんて言っていませんからね。作品自体が嘘かもしれませんよ。

ここで余談ながらに例え話。
先日、息子の授業参観で小さな発表会があったのですが、その中で一人の女の子が緊張して泣いてしまったのです。それを慰める同級生たち。「大丈夫だよ」とか「ガンバレ」などの言葉の中で変な顔をしている愚息。

そう。息子は変な顔で笑わして元気づけようとしたのですね。まあ、正直なところ「ふざけている」と言われても当然。でも、その誤解を吹き飛ばす“笑いの技術”が無かったことは別の話。少なくとも“慰めようとした優しい気持ち”を否定してはいけないのです。本作も…それと同じ、と書くのは不遜でしょうか。

まあ、そんなわけで。
賛否両論激しい作品ですが、それでも賛辞のほうが高らかに聞こえてくるのは、窮屈な現代社会に誰もが疲れているからかもしれません。

「ありのままでいい」
みんな、そう言ってもらいたいのです。だから、僕も言いますよ。ありのままで表現したレビューで良いのです。先にも示しましたが、その声があったからこそ、僕は観に行ったのですから。
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