ねむ

ネオン・デーモンのねむのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
3.8
「私は可愛いだけが取り柄」と無邪気に言い切る16歳の美少女が、モデル界に足を踏み入れ、何の加工もされていない自然な美しさで周囲を魅了するけど、自分の魅力を自覚していい気持ちになったところで予想外のとんでもない目に遭ってしまう話。

とにかくサイケで毒々しくもオシャレな画と、ホラー映画のように悪夢的なシンセの楽曲が独特だった。
エル・ファニングはいわゆるモデルっぽい美人ではないと思うけど、逆にモデルっぽくない、ギリシャ神話のニンフのような天然無垢な輝きが、周囲の人を魅了し、狂わせたんだろうと感じられる。透き通るように美しいとは彼女のこと。
エピソードとしては2~3日なんだけど、たぶん最初のショーから最後の夜までは時間の間隔があるんだろう(エルの変貌ぶりも落差激しい)。

エルの可愛らしさとは裏腹に、「モデルは21歳になったら終わり」等と平気でうそぶく醜悪なルッキズムが、寄ってたかって彼女を食い荒らし、グロテスクな結末を招く。女性たちはひたすらに若さと美しさを競い合った挙句、無垢さを失い、美しさを誇ろうとした女は残酷に罰せられる。地位ある男たちはそのさまを悠然と品定めするだけ。

嘔吐シーンが意外に長くて、ここは生理的にウッとなってしまった。ボーイフレンド未満の彼氏が良い人だった。
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