ねむ

デューン 砂の惑星PART2のねむのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

先行上映で鑑賞。原作は「砂の惑星」(今回の分)まで読んでおり、リンチ版、ヴィルヌーヴ版は鑑賞済み。
映像や音響のすごさは散々言われていることと思うので、ストーリー面の改変について。

前作というか映画化の時点で懸念があった。ライオンキングとかと同系統の貴種流離譚であるDUNEは、そもそもが男子血統主義が根幹にある作品だということ。さらに数百年とかにわたって遺伝子操作を行った結果、誕生したのが主人公という、血統主義をさらに上塗りしたような作品なのだった。
もっといえば、抑圧された植民地に白人救世主(あまりにも文字通り)が降臨して勝利に導くという話も、古すぎる。

DUNEは好きな作品だけに、この辺の根本的な古さをどうするつもりかというのは注視していた。その部分は当然、最初から監督も頭にあったと思われる。

ヒロインのチャニは原作では、リエト・カインズという生態学者とフレメン女性の間に生まれた娘という設定。映画化にあたってはカインズは黒人の女性に変更され、チャニとの血縁は失くなっていた。チャニは名のある血統の生まれではない、何者でもない娘に変更された。

ゴリゴリに濃厚な血を持つ、エリート中のエリートというポールの対極として、この設定変更がものすごく生きている。見た目にもポールとチャニは体格差があまりなく、カップルというより男女の双子のようにも見える。

ついでに言うと、前作では公爵にさえ屈しない独立自尊の男として描かれていたスティルガーが、ポールが救世主だと確信したとたんに忠実な信者化してしまうのも対照的で、面白い。

原作ポールは最後イルーラン姫に求婚するけど、イルーランのことは一生愛さないとチャニに約束して、彼女を「愛妾」とする。チャニは実質上の妃になってポールの子どもを産むんだけど、ここが変更されたので、次がもしあればオリジナルとはかなり違った展開になるはず。

考えてみるとイルーランを妻にするけど一生愛さない宣言もだいぶ女性をバカにした話で、映画ではそうしたセリフはないし、イルーランの主体性も感じられた。

二作で完結だと思っていたし、それでもいいような終わり方にはなっていると思う。実際原作もここで区切りついてるし。しかし三部作だとして、その真ん中で主人公の変更らしきことが起こってるとすれば、面白い。
今回は人間関係に焦点があって、原作の魅力であるアラキスそのものの謎は、まだ一部しか明かされてない。あとリンチ版で印象に残る「航海士」も全然出てきてないから、次作にも期待します。
ねむ

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