こたつむり

ピンクとグレーのこたつむりのレビュー・感想・評価

ピンクとグレー(2016年製作の映画)
3.5
★ 認めたくないものだな、若さゆえの過ちを

ネタバレに抵触するキャッチコピーで記憶に残っていた作品。その記憶が風化する前に鑑賞しましたが…なるほど。これは“知らなかった”ほうが楽しめたと思います。

というかですね。
映画業界の一部の人に訴えたいのですが「ネタバレされても映画は楽しい」という価値観は否定しないので「ネタバレは映画の魅力を損なう」という価値観も否定しないでくださいな。

“映画を観る行為”は体験の一種。
だから、万人が同じ感想を抱くことはないわけで。その体験の中には“未知なるものに驚いて興奮すること”も含まれるのです。そして、それを重要視する人もいるのです。

勿論、本作の場合、キャッチコピーで触れたのは物語の一部。それを知ったことで作品の価値が損なわれるわけではありません。

また、本作が選んだ手法は“賭け”だったのも事実。後で回収されることは知っていても、敢えて大海に身を投じるのは勇気が要る決断だったと思います。だから、キャッチコピーで“保険を掛けた”気持ちも理解できます。

しかし、そこは作品のポテンシャルを信じれば良かったのです。監督さんが刻み込んだのは価値観の反転(或いは視点の高さを変えること)。それを万全に伝える為に必要な措置だったのですから。

特に夏帆さんは分かりやすかったですね。
身を張った場面も印象的でしたし、見事なまでに惹き込まれましたよ。

また、その他にも強烈な印象に残ったのは“秘密クラブ”の場面。あれはトラウマになりそうなほどに怖かったです。乳首が白く輝くのは、ほとんどホラー映画ですね。

まあ、そんなわけで。
親友が自殺した理由を模索する物語。
話題性が先行した作品ですが、期待値を控えめに鑑賞すれば楽しめると思います。

最後に余談として。
撮影現場の一部が職場の近くだったので…その場面は集中して観ることが出来ませんでした。どうしても背景(歩道橋とか店の看板とか)が気になってしまうのですよね。勿論、僕が映っている可能性はゼロなのですけども。
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