eucalypso

ゴースト・イン・ザ・シェルのeucalypsoのレビュー・感想・評価

2.0
良くも悪くもサイバーパンク成分が高く、既視感、レガシー感も強め、新しい要素が皆無な、キビしい内容。

B級に徹して、もっと無茶してくれればよかったけど、押井守版をトレースするところで終わってる。それなりに力が入った少佐誕生〜ビル突入の冒頭シーンだけで十分かも。

「ネットは広大だわ」という少佐/素子の台詞は本作には出てこない。自分という個体の殻から抜け出して仮想世界にジャックインする、という当時はそれなりにアグレッシブで先鋭的だったサイバーパンクがすっかり風化したことを確認できたので、観る価値はあったと思う。

・「ブレードランナー2049」と比べると、予算の関係か街の表現がチープ。どちらも巨大な立体ホログラムに頼りすぎなのは同じ。
・ビョークのMVとジャケそのままな芸者ロボは不気味の谷を越えてなくて、よかった。
・スカーレット・ヨハンソンはずっと同じ硬い表情で殻っぽい。義体コスプレ。「アンダー・ザ・スキン」では、彼女のエイリアン性が画として成立してたのに。
・主人公がベタな自分探しに執心するのも、「ブレードランナー2049」と似ている。
・クゼのルックスが悪い意味で古臭いサイバーパンクというかサイボーグ。素子との過去エピソードも安く、そもそも電脳と関係ないという。押井守版にあった、人形使いと素子との哲学談義は望むべきもなく。
・クラブのトイレの窓からバトーが少佐に銃を渡すのはギャグかと思った。
・ビートたけしが日本語で喋るたびに画面のテンションがダダ下がり。英語の吹き替えにしてほしかった。
・桃井かおりは、唯一、生きてる人間を感じた。他が暗い夜の場面が多く、曇天の日中、高層マンションの一室でスカヨハと話す静かなシーンは、この映画で一番印象に残る(お茶を淹れるケトルが柳宗理)。
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