ブレードランナー2049再見の流れで観た短編3本の内、あくまでキャラクター紹介に準じた実写2本より、日本の2Dアニメーションの粋を集めた本作に一番感銘を受けた。
昔観た時はいかにも2次創作っぽく感じてしまい敬遠していたのだけど、理解が足りてなかった。ゴメンナサイ。
直球のオマージュを目指した渡辺信一郎監督の元、凄腕のアニメーターが集結。令和の日本でほぼ息絶えてしまった、人体の重み、重力を感じるリアル系アニメーションを堪能する15分。
作画監督は閃光のハサウェイの監督を務めた村瀬修功。オフワールドの回想シーンは、君たちはどう生きるかの冒頭で度肝を抜かれた大平晋也。柔らかい描線のマジック。レプリカントのトリクシーがハンマー投げみたくミラーをブン投げるシーンは攻殻機動隊を手がけた沖浦啓之。
美術は巨大人工物、メガロストラクチャーを得意とするSci-Fiアートの俊英Paul Chadeisson。最近作はファウンデーション。本家にも関わってほしかった逸材。
音楽はアニメオタクのフライング・ロータスを筆頭に彼のレーベルメイト、著名なアレンジャーでもあるミゲル・アトウッド・ファーガソン、ブレードランナーな電子音楽で知られるKuedo。
トリクシーの声がやけに生々しくて艶めかしいと思ったら、青葉市子。
タンクローリーやちょっとしか出てこないスピナーのデザインも◎。ブラックアウトでスピナーがワラワラと墜落し、わかもとの広告に飛行船が突っ込むラストも楽しい。
本編に出てくるレプリカントによるレジスタンス、この短編のような地下活動を脈々と続けていた、みたいな描写があれば、もう少し説得力が増したのでわと思う。