イライライジャ

プティ・カンカンのイライライジャのレビュー・感想・評価

プティ・カンカン(2014年製作の映画)
3.0
TVシリーズを映画版に編集しており上映時間が205分。続編とぶっ通しで観ると7時間超えの長尺。
フランス版『ツインピークス』と書かれているが、監督自身は「観てへん」と言っており、監督の過去作『ユマニテ』をセルフリメイクしているとも言われている。

牛の遺体の中に人間のバラバラ死体が入っている猟奇殺人事件が次々起きる。同時に、夏休みになって毎日ダチと遊び回る少年少女たち。
宗教、人種差別、不法移民、愛人、障害者などフランスの社会的風景をことごとく詰め込み、そして大体投げっぱなしのまま終わる。

牛がヘリで宙に吊られるロングショットが印象的。田舎が舞台で緑と海と空の明るい画が多い。なのに死が溢れる。そのコントラストが良い。
サスペンスではなくコメディだが、人々の焦燥感の無さが返って奇妙な世界観を生み出している。凶悪事件が起きてると思えないユルさ。

登場人物は素人ばかり。
チック症の隊長、腑抜けた顔の部下カルパンティエ、鼻が潰れたカンカン。みんなインパクトのある見た目でよく見つけてきたなと。

個人的には2作目のための1作目だと思ったので、合わなかった人も頑張って2作目を観てほしい。