イライライジャ

愛の嵐のイライライジャのレビュー・感想・評価

愛の嵐(1973年製作の映画)
3.5
元ナチスの将校とそいつに収容所で痛ぶられていた女性が数十年ぶりに再開。当時を回想しながら再び歪な関係が始まる。

確かにこれは歪な愛ではあるが、権力者と無力な者の関係性だ。例えば虐待する親から逃れるためにどうすればいいか…。追い詰められた者の選択は“愛する”しかない。愛してしまえば対等になったと思えるからだ。更に、その人がいたから自分は生きていられたという極限状態にあるため“愛さざるを得ない”状況になっている。
果たしてそれが純愛と言えるのか。
権力者側からの愛はもはや“加害”だ。被害者はひと時も忘れはしていないだろう。だがその気持ちは決して愛ではないと私は思う。

収容所での性愛と聞くと強烈な内容に感じるが、結局ナチスから逃れられない者の運命なのだろう。まあ元ナチスの残党がのん気に暮らしている様はシンプルに胸糞悪い。
実に病的な話だったが、若きシャーロット・ランプリングが悲惨な状況下で半裸で踊るシークエンスと中性的なビジュアルは映画史に残るのも頷けるほど圧巻で美しい。