遺体を最初に目撃したことによって殺人容疑をかけられる取り調べコメディ。
一言では説明不可能な奇妙な映画。舞台は警察署の一室なのに、先の展開が全く読めずブラックな笑いを誘う。無実なのに署内で人が死ぬし、所々で不謹慎な行きすぎたユーモアがある。それが本当にいちいち笑える。
基本は取り調べするなかで容疑者が回想していく造りなのだが、回想シーンで現在の無関係な人物が横やり入れてくる。しかも被害者と刑事がお互いの回想を鮮明な映像として見えている。現実なのか非現実なのかイカレてるのか。よくわからん面白さに引き込まれる。
意表を突いた仕掛けの結末が残念に感じるが、思えば警察署でも回想でも真実でも、容疑者こと主人公は何も知らずに巻き込まれている。カンタン・デュピューの映画に意味や答えを求めるのはナンセンスだ。全てをひっくるめて秀逸な不条理劇だった。