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ラン・オールナイトのエディのレビュー・感想・評価

ラン・オールナイト(2015年製作の映画)
3.6
リーアム・ニーソン演じる老いぼれ殺し屋が、マフィアボスの愛息を殺したことで命を狙われる自分の息子を守るために奮戦するアクション映画。タイトルからだとハードにずっと逃げ続けるすごい緊迫感ある映画を想像してしまうが、実際はそれほどでもない。ただ、その代わりに、親友の絆が壊れ敵同士になる反面で、親子の絆の修復がなされるという点が丁寧に描かれているので、人情味のあるアクションに仕上がっている。

主人公ジミーコンロンはかつては凄腕の殺し屋だったが、人を殺めた罪に苦しめられ、今では酒びたりの日々が続いている。そんなジミーにお情けの仕事をあげて養ってくれるのは古くからの盟友でもあるマフィアボスのショーン。二人は固い絆で結ばれていた。
一方、ジミーの息子マイクはリムジンのドライバーをしているが、あるとき送迎した客が目の前で殺されてしまうのを目撃した。殺した相手はショーンの息子ダニーで、目撃者としてマイクはショーンに命を狙われることになった。マイクの助けで息子を守ろうとしたジミーは正当防衛でダニーを殺してしまったことで、親友同士だったのに、親子共々命を狙われる事になった。。。

引退したスパイ、おちぶれた警官、酒びたりの殺し屋などなど、作品ごとで設定は微妙に変わっているが、リーアム・ニーソンは「疲れた元凄い奴が事件に巻き込まれて大活躍する映画」に出まくっている。粗製乱造とまでは言わないけど、この映画も既視感満載だ。
ストーリー自体、特に前半は「ロード・トゥ・パーディション」を彷彿とさせるし、時間に追われながらの攻防戦は「96時間」シリーズのような匂いも感じてしまう。

マフィア組織、組織から雇われた凄腕の殺し屋、そして警察も買収されているので、NYの全てが敵。そんな中で逃げるのだが、いまいち緊迫感が感じられないのは、シナリオの練が足りないというよりは既視感が強過ぎるせいかもしれない。
親友が敵に変わる過程も丁寧に描いているし、事件が起きてから逃げ続けるまでの話もまとまっているのでそれなりに面白いのだが、アクション映画として観るといまいち興奮できなかった。

一方、疎遠だった親子の関係が修復される映画としては良く出来ていると思う。オヤジと違って息子はまっとうな生き方をして、家族とも上手くいっている。そんな彼らを命がけで守る過程が丁寧かつ自然に描かれているので、ちょっぴりハートウォーミングな映画になっているのだ。なので、ラストはそれなりに胸が熱くなった。

あまりにも特定の俳優に似た役柄ばかり集中させると、俳優にイメージが出来てしまうし、観る側も新鮮味がなくなると思う。せっかく人情味のある独特なアクション映画に仕上がったのだからキャスティングを工夫すればよかったのにと思ってしまった。
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