茶一郎

ラン・オールナイトの茶一郎のレビュー・感想・評価

ラン・オールナイト(2015年製作の映画)
3.6
『今度は走るぞ、リーアムおじちゃん』

 元NYを仕切るマフィア直属の最強の殺し屋、今は酒浸りでマフィアのボスのせがれに暖房器具を買うお金をせびる始末。ある日、疎遠になっていた息子が事件に巻き込まれてしまう。助けたばっかりに、マフィアから、警察から、追われる身に。期限は一晩。走れ!リーアムおじちゃん!

 リーアム・ニーソン×ジャウム・コレット=セラのコンビ。これで3作目になります。今作はコンビ作品にしては、フツーに見やすいアクション作品になっていたように感じます。

『リーアム演じる主人公の強さに説得力がない』というレビューを散見致しましたが、リーアム・ニーソン主演のアクション映画でツッコミ所や60歳を超えたリーアムおじちゃんの強さはご愛嬌といった所です。
映画は一つの作品だけではなく、文脈があるということでしょうか。

「96時間」シリーズから十分にリーアム・ニーソンのアクションスターとしての開花をリアルタイムで見ることができました。



 さて、映画の内容ですが既視感バリバリの『いつもの』リーアムおじちゃんです。

但し、上述の通り、セラ監督にしては純粋なアクション映画です。
ガンアクションばかりなのがやや残念ですが、NYを空撮と早送りでつなぐ描写は街全体を一つの閉鎖空間のように見せることに成功していますし、冒頭の異常に多いカット数から、全編通して飽きさせない作りになっていると思います。
蛍光色の使い方も監督らしく、上手いなぁという印象です。


 野暮な不満点は、NYの一般市民があまり襲ってきてくれない。ということです。もっと、セラ監督らしく、いつ襲われるか分からない恐怖に観客を追い込んで欲しかったです。
全体的に中途半端な印象を受ける方の気持ちも分かります。

 リーアムおじちゃんも後、数作かでアクション映画を引退とのことですので、ぜひ新アクションスターをリアルタイムで追いかけてみてはどうでしょうか。
茶一郎

茶一郎