こたつむり

アンフェア the endのこたつむりのレビュー・感想・評価

アンフェア the end(2015年製作の映画)
2.5
♪ おびえずに歩かなきゃ
  ほんとうの場所なんて行けない

「もうやめて!アンフェアのHPは0なのよ!」と言いたくなる作品でした。篠原涼子さんが頑張れば頑張るほど痛々しくて。スタッフロール直前の“真相公開”は死者に鞭を打っていると勘違いするほどでした。

思うに、目指したのは原点回帰。
《罰サイト》の復活とか「アンフェアは誰なのか」の栞とか。連続ドラマを思い出させるギミックの配置。でも、感じるのは懐かしさだけ。必要性はありませんでした。

更に言えば配役も同様。
永山瑛太さんの実弟を起用したのも「無駄に美人ですね」と言わせたいがため…そう穿ちたくなるポジション。勿論、内面に踏み込んだ描写があれば別ですけど、そんなの皆無ですからね。勿体ないなあ。

勿体ないと言えば。
佐藤浩市さんの役柄もそうですね。
主人公も含めて、もっと内面に寄り添える描写を積み重ねていれば「うはぁ。痛いなあ」なんて悶絶したでしょうに…あれじゃあ、余韻もへったくれもありません。無駄遣いの極みです。

あ、でも、作品自体はエコロジーですよ。
搾りかすになるまで利用する心意気ですからね。環境に優しいな。にっこり。

ちなみに『アンフェア』の持ち味である“驚き”。これを感じたのは美央ちゃんの再登場でした。特に主人公と並んで歩く場面は良かったですね。彼女を優しく見守るような篠原涼子さんは確実に母の顔。連続ドラマの頃では出せなかった魅力です。

しかも、最大のサプライズは鑑賞後でした。
なんと美央ちゃんを演じた向井地美音さんはアイドルになっていたんですね。その方面は疎いんで知りませんでした。「子役は大成しない」なんて言われる中でスゴイ話です。“なんとか48”の総監督なんて出世されましたなあ(←親戚のおじさんチック)。

まあ、そんなわけで。
“脚本の薄さ”を味わえる作品。
雰囲気作りは前作よりも良かっただけに、弱点が露呈していたと思います。

あと、本作にリアリズムを求めるのは野暮なんですが、それでもツッコミたいのが、24年前の音声ファイルで“実行犯の正体”が分かる件。わざわざ犯罪の証拠をカセットテープに録音し、21世紀になって音声ファイルに変換する…って、どんだけ面倒くさいことを!

製作会議で誰もツッコまないのかなあ…。
こたつむり

こたつむり