伏暗

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けの伏暗のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

パル皇帝「ep8は幻だったのだ!ローズもな!」



はい。

というわけでep8がまるまる幻となり、そこにあったかもしれないJJ版の『ep8'』を前提として作られた(くさい)ep9!!

初っ端からいきなりの、パルパティーン!

いや、嘘やん……。
えぇ……スノークは幻……えぇ??

そんなパワープレイが許されるわけないでしょー、というテンションのままで話は進み、なんとカイロレンがマスクを復活。呆れ果てたワシの前に次々とばら撒かれるレイの正体関連の前フリ!!

いや、ep8ラストの少年は……?
何者でなくてもフォース使えるんじゃ……?

てか、折角捨てたジェダイの書物、なんかルークの研究書と並んでフツーにあるっぽくないか。おい!どういうことだ、説明しろ!

まさか、そうでなくてもお使いくさいシナリオ回しが死ぬほどツマラないってのに、ここに来てオリジナル三部作へとラインを回帰させるってのか。こりゃあがっかりだぜ、と疲れ果てたワシの前に、ランドが現れる。落ち込んだテンションがこの辺で上がりだす。

なるほど。
今作はもう、新しいことやるのはやめたんやな。
古くていい!それでいい!それでもいい!
おっしゃ、ちゃんと完結させてくれ!

↑思考がここに至り、メンタルが回復。

チューイのくだりやらハックスの雑回収を済ませて、物語はついにエンドアへ!!

(なおここまででレイの正体が明かされるものの、あまりにもep9からの唐突かつ露骨な前フリをされすぎたために、ぶち白けてしまってその辺はどうでもよくなっている。つーか、ベイダーマスクの使いどころそこかよ!アナキン空気じゃねーか!)





以下見どころ。

ハリポタ最終段ばりのご都合主義クソ短剣と秘密の部屋「エンドア行くで〜」ワシ「おお〜!行くで〜!やっぱスターウォーズはエンドアや!デススターやで!」短剣くん「ワイをデススターに合わせたら、ピッタリ秘密場所の在り処になるんやで」ワシ「そ、そうなんか?立ち位置とかないんか?」短剣くん「ないやで」レイさん「フォースが導いてくれるやつやね(ニッコリ)」

デスイーターと化したレイさん「キシャー!!」ワシ「そうか、こいつがレイの真の敵なんやな!」カイロレン「違うやで!ワイが来たやで!宝物砕くやで!」デスレイさん「ほなワイの出番は終わりやな」フィン「かわりに来たやで!」トルーパー系女子「せやせや、ワイがフィンの正妻やで」ワシ「ちょ、ちょっと待ってくれんか、なんかごちゃついてきたやで、あれ、そういえばローズ氏はどこに消えたんやで」トル女「だ ま れ」

その頃のローズ氏「(空気)」

レイア「ベン……救わねば」カイロレン「マッマ?!ワイのために!?」草葉の陰のハリソン「俺も手を差し伸べたんやが」ルーク「やっぱ男はあかんやで、マッマやないとあかんやで」化けて出たハリソン「(優しい言葉で心をなでる)」カイロレン改めベン「ワイが……間違っていた……」

その頃のレイ「ライト剣ほんまクソ、ワシはやっぱりパルパティーン」ルークパッパ「ライト剣は大事にしてや」レイ「ワイがパルパティーンなんやで」ルークパッパ「心的に大丈夫ちゃう?」ワシ「あ、あれはXウィングじゃないかぁ!!」(伝説機体ズゴゴゴにワシボロ泣き)ルークパッパ「レイアソードもあげる。それがジェダイのすべてやで」ワシ「ジェダイのすべては、あんたとヨーダが前作で焼いてもうたけどな」ルーク「それは幻だから」

アナキン「ワイの出番は……」
ベイダーマスク(ガッシャーン!)
カイロレン「幻だ」





幻。
そう、幻が多い。

このシークエルはとにかく幻が多かった。スノークもローズもハックスもファズマも今作の新登場キャラたちも、みーんな幻。ハリボテとまでは言わないけど、少なくとも別にいてもいなくても良かった。シナリオの変更でどうにでもなる程度のキャラクターだった。

結局、レイやカイロレンことベンを救ったのは本シークエルの新キャラではなくて、過去作の、というかオリジナルキャラクターたち。うん、それはまぁ宿命だとは思う。スカイウォーカーの夜明けと銘打ってた時点で覚悟はしていた。だけど、フィンやポーって、結局のところレイの心とは、まともに絡んでないんじゃないか。

はっきりとこの点は不満。過去の英雄が、あるいは親や師匠が救ってくれるというのはまぁカッコいい話だよ。面白いし泣けちゃうよ。でもさぁ、ハンソロはオリジナルでスカイウォーカーの物語にあそこまで食い込んだわけじゃん。オビワンやクワイガンだってそうじゃん。部外者だけど、その心に踏み込んでいこうとしたじゃん。

なんか、ベンとレイの関係性、シスとジェダイの関係性だけに焦点を当てすぎなんだよな。もちろん、民間機大集合からの「反撃開始やでー!」は最高にブチ上がるんだけど、それがスカイウォーカーの物語とリンクしていない気がして、なんだかマトリックスレボリューションズみたいな救世主モノだなぁってなったり。それにしてはレイが何を背負って戦ってるのかが見えないなぁってなったり。まぁSW自体がそういう側面もあるんだけど。フィンがフォースでレイの死を感じ取るとことかでギリリンクさせてたかなぁ、くらいの感じ。

その辺を突っ込むと、この無駄に多い脇役たち、ほんとにこのテーマを表現するのに必要だったの?そもそもテーマなんだったの?くらいの感じはあるが、まぁ、ノーコメント。

もちろん、最終決戦はそれなりに良かった。ルークセイバー転送に、コスプレ集団みたいな無能黒騎士バトル、並び立つライトセーバー、パル皇帝の圧倒的な無限のパワー、絵的にもなかなか面白かった。シークエルのセーバー戦は全体的に最高峰だと思うよね(ep3のチュンチュンバトルよりは好きくさい)。まぁ、ハリポタばりのビーム対決にワンダーウーマンばりのクロスセーバーは笑ってしまったけど、メカパルパティーン、今度こそ成仏してください。

ヨ・ア・ソ・レ・ル・ベ ×2「断る」





総体として、気にかかる点はかなり多いし、特に、ep7とep8を観ていなくても普通に成立するかもしれないという、このシークエル全体の作りへの不満は大いにあるのだけど、ep9単体としてみれば、まぁこれはオリジナルを踏まえればの話ではあるんだけど、まぁ4.0はあげてもいいかな。

個人的に加点ポイント(ここでしか観れない光景)としては、やっぱり、銀河中から集まってくる圧倒的な物量の民間機だったり、スピーダーじゃなくて野生動物だから妨害できない小ネタだったり、スターウォーズだからこそ許される死者の大安売りだったり、まぁそのなんだ、ベタでかつ地に足が着いてるとこが面白かったです。

ライトなんちゃらだのダークなんちゃらだの、そういう話はやっぱり無理だね。無理してやろうとしたんかもしれんけど、今作の制作陣はあんま向いてないと思うわ。LotRのほうが上手い。

ジェダイの聖典を焼き捨てて、光とか闇とかそういうのもクソやねん、をぶちまけそうだったep8にはかなり期待したんだけど、まぁ結局「心がライトサイドなんやでー!ダークサイドは死ねやでー!ワイがスカイウォーカーやで、見てるか!?パッパとマッマ!!ワシがスカイウォーカーなんや!!」みたいな感じで落とされると、まぁモニョる。

テーマ性という意味では、まだ、完璧に闇オチするep3のほうが進歩的だったんじゃないかな。ep3やep6以上に行こうとしたけど、結局オチがつかないから急ブレーキかけました、終わり良ければ全てよし!ep8は幻!みたいなにおいがぷんぷんする。

つか、パル皇帝が便利グッズすぎ。これ本当にep7からパル皇帝が黒幕だったの?ep9で突然思いついたとかじゃなくて?本当の本当にそうなんだとしたら、ep7と8は茶番だったし、ep9で固まったんだとしたらライアン・ジョンソンがかわいそすぎ。邪悪なスノークぶった斬るシーン、最高に良かったよ。俺が満点をつけておく。

そうそう、かわいそすぎといえば、ローズの扱い最低でしょう。なんだこれ。いや、正直な、正直に言って、絵的には、今作の相手のほうがバッチシ来てるよ。フィンの相手がローズって、あんまりバッチシ来ないよ。でもさぁ、それを覚悟してさぁ、それでもやるんだって気持ちで、ep8でアジア人を起用したんじゃねぇの。そこに銀河の多様性を表現しようとしたんじゃねぇの。それがまぁ、なんだこの体たらくは。脚本がメタメタだったり、ご都合主義にも程があるのは許せるけども、そういう誠実さに欠けた製作上のムーヴはファッ◯ンだよ。本当にどうかな、と思いました。

以上です。

え、音楽と画ですか。
小道具にデザイン?
普通に良かったでした。





点数は4.0点!

大河の完結としては最高!
単体としてはそれなり!
シークエルとしてはクソ!
でも泣けるから最高!
ローズの扱いは、最悪の極み!!

よし、マンダロリアン観るぞー!
伏暗

伏暗