CHACO

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのCHACOのレビュー・感想・評価

3.3
【僕の「SW体験」にさようなら】

お久しぶりです。
すっかり今年後半の映画レビューが疎かになり、アレもコレも観たはずなのに全く感想を上げておりませんでした。。

そして!気づけば今年最後を飾るであろう、
銀河一の大型シリーズ完結編が始まっておりました。
こればかりは語らざるを得ない、ということで感想を残したいと思います。



振り返ると、「僕のSW体験」は小学生時代に遡ります。

当時の僕はまだ洋画というものも知らず、
SFというジャンルは見たことも聞いたこともないレベルでした。
勧善懲悪の特撮ヒーローを熱心に見ていた僕に、
どういう意図があったかは分かりませんが
偉大なる我が母は「スターウォーズ特別編」のVHSトリロジーボックスを与えてくれました。

あの当時でいくらくらいだったのでしょうか。
(調べたら分かるが無粋な気がするからやめておく)
金色のダースベイダーのマスクがあしらわれた特製ボックス。

新しいビデオにはまだ製品出荷されたばかりの、何とも言えない匂いがまとわりついていて、
これは何やら自分にとって触れたことがない、凄いものが与えられたのだと
胸を高鳴らせた記憶があります。

そこで初めて観たのが
今、エピソード4と名付けられたあの冒険譚でした。


そこには、栄光の時代に活躍したジェダイの騎士なる人がいました。
何があったかは分からないが巨悪に負け、
今となっては歴史から消え失せた存在に、1人の白い服を着た姫が助けを求めている。
砂漠に覆われた星で自分の本当の出自すら知らない若者は、双子の月の夕日を眺め、夢を見て、閉鎖環境から飛び立とうとしている。


日本の片田舎の、情報もトレンドも皆無の環境で見た、宇宙の彼方の銀河系は
少年だった僕にオーバーラップしていきました。
すぐさま「僕の物語」になりました。


増える仲間、老年の師の教え。
まだ当時の訳ではライトサーベルと呼ばれていた光線剣。
生半可な人間では扱えない代物であると、すぐさま理解したあのシーン、今でも思い出します。
オビワンが優しくルークに語りかけるあの目。
物事が動き出すタイミングは、静かで力強いんだと知った瞬間でした。



おそらくスター・ウォーズを語るとき
程度の差はあれ、熱心に観てきた人には
こうした「SW体験」が誰しもあると思うんです。
それが美化されすぎているとか、
元々荒唐無稽な筋書きなんだからうるさ型になるんじゃないよ、とか
そうした意見もありますよね。
めっちゃ分かります。分かります。。


「フォースの覚醒」僕は好きでした。過剰接待かもしれないけど、また伝説が観られる興奮が勝っていた。
(翌年のローグワンのクオリティのおかげかもしれないけど…)

「最後のジェダイ」は僕はなかなか受け付けられませんでした。
やりたいことはめちゃくちゃ分かった。
新しかった。けどぶっ壊れていた。
1番悲しかったのは、これまでの「時間と体験が奪われた」という喪失感でした。


「スカイウォーカーの夜明け」
正直に言って、観た直後は80点。
その後ジワジワと60点になっていく、奇妙な映画体験を、今もしています。
同じようにこの作品を観た人と語り合うとき、
「半笑い」でこの作品について話している自分に気づいて、悲しくなっています。
監督の苦心も、やらなければならなかったことも、痛いほど分かる。
けど日本版のコピーがそのまま言っている気がするんです。
「すべて、終わらせる」
そう、このサーガを終わらせることが目的になってしまったんだなあと。。。


ありがとう、スター・ウォーズ。
そして、さようなら。




スター・ウォーズは、スカイウォーカーサーガを離れて続くそうですね。
次はライアンジョンソンか、ケビン・ファイギだとか。
語られるべき物語はいくつもあると思います。

でも、ルーカス・フィルムはぜひ心穏やかに慎重に、感覚を研ぎ澄まして。
暗黒面はいつもそこにあるんですよ。
興収への欲や執着を持つと、瞬く間に飲み込まれてしまう。
…フォースと共にあれ。
CHACO

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