CHACO

アラジンのCHACOのレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
3.7
【この映画の主人公は誰なのか】

名作『Aladdin』の実写化は
問答無用のエモーショナルと
ウィル・スミスverとなった
ジーニーのヒップホップ路線に加え
イマ的な改変もされた
老若男女楽しめる逸品。

アニメーションでは生み出せない
「生」や「人の息遣い」が
随所に感じられる
ダンスシーン、歌唱シーン、
人と人の距離感が縮まっていく数々のシーンは
「あぁコレ実写で観てよかったなあ」
と思わせる大きなポイント。

ただ、個人的には
素晴らしい実写化ではありつつ
気になる点も多め。

まず、冒頭に書いたような
「今回のこの話の主人公は誰なんだ?」という疑問。
アラジンだけど…
ぶっちゃけアラジンかね?笑
どちらかというとジャスミンに傾いたよね。
分かっています、現代的アップデート。
しかし…
アラジンは、やっぱり心優しいけど貧しいアラジンが主軸の物語であってほしい。
これはわたくし懐古厨でしょうか…笑
どちらかと言えば、僕の嗜好は
多様性的な主張・メッセージ、
それが映画という総合芸術で描かれることは
とても良いことだと思うのです。
それは大好きなMCUしかり、
昨年だと「オーシャンズ8」や
「クレイジーリッチ」や
大好きな映画のひとつ「ドリーム」や…
挙げたらキリがない。

でも今回は…何だかモヤっとしてしまった。
パワープレイで見せられる強い女性像に、
仰け反ってしまった。
そしてそちらこそ伝えたいメッセージなんだと、
もの凄く透けて見えてしまった。
もう少しスマートな演出で
鼻で笑ってカタルシス!
のような表現で、
旧態依然とした男性像をスカッと吹き飛ばすこともできたのでは。
アラジンという男性像すら、
現代的にうまくアップデートして見せることもできたのでは。


これは僕の感覚なので、違う意見も絶対ある。
このジャスミンがいい!という感想は絶対ある。
でも僕はこういう多様な意見も認められる、
言える世の中でありたいと思う。


あれ、何の話や?笑



この実写版アラジンが、
これからを生きる子どもたちの王道になるとしたら
何年後か、何十年後かに
「いやさー、この実写化アラジンの感じって、やっぱ時代だよねー。
こんなこと女性キャラに敢えて言わせるって古いよねー」
という未来まで見据えてディズニーが作っているとしたら
それはもう、畏怖の念すら覚える。
いつかこの答え合わせがしたいですね。


キャラクター話でいうと
ウィル・スミスverジーニー。
完全に楽しくってクレイジーな、
いつものウィル・スミスでした。笑
ありがとう!楽しかった。
お決まりのラストも、あなたの間合いとか表情でグッと来ざるを得ないよ。


その他の気になるのは
舞台設定であるアグラバー。
港湾都市として、北アフリカやらヨーロッパ側地中海沿岸やら
東南アジアやらを足して割ったような
素敵な、オリエンタル感満載の街。
ただ、スケール感がリアルすぎるというか
むしろ小さくなってしまった印象。
アラジンの家からブワッと見えるアグラバー宮殿のデカさ。
夢の象徴のようなデカさ。
アレは映像で観たかったような…
ああ、やっぱ懐古厨なのか…苦笑


色々言いたくなってしまったけど、
でもやっぱり楽しい魔法の世界。
明るく楽しい時間が過ごせる一本なのは間違いない。
たくさんの人に届いてほしい映画です。
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