CHACO

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のCHACOのレビュー・感想・評価

4.3
【パフォーマンスキャプチャー俳優に、最大の賛辞を】


「猿の惑星」に始めて触れたのはいつだっただろうか。
そうあれは、
まだ幼子だった僕がまさに泣く子も黙った、
猿の惑星史からほぼ無かったこととされている
ティムバートン版である。
僕の「猿の惑星」デビューはとっても悲惨な幕開けだった。笑


入口を間違えたこともあって、
このリブート版三作品に手を伸ばすまでには
かなりの年数がかかってしまう。
(食わず嫌いに理由をつけているだけ笑)


「創世記」では、単語を話すだけでこちらの鳥肌をゾワゾワ誘ってきた幼年シーザーも
「聖戦記」に至っては、ほぼ人間。

一体どちらが「人間」で、どちらが「野蛮なエイプ」なのか。
その境界線が「新世紀」でボヤけてきたと思いきや
本作「聖戦記」は完全に入れ替わる。
終盤は問答無用、いけ!シーザーいけ!やっちまえ!
と心の叫びは完全に猿たち側へ向いている。


重くのし掛かってくるような巨匠ハンス・ジマーの音楽と
「原罪」を背負った上に復讐まで背負おうとするシーザーの疲れ切った姿…
あの頃のシーザーはどこへ…?
シーザー本当にこの道を迷わず進んでしまうのか…?
クライマックスはまさに旧約聖書になぞらえ、
天変地異を味方にすべての脅威を排除する神懸かり展開へ繋がる。


ヒーローもの、SFもの然り
二項対立を現代社会の問題とサラッとシンクロさせるストーリーは
もうどの映画でも感じられるようになったが
やはり名シリーズ「猿の惑星」の血脈というか
ティムバートンにこうやって「受け継いで」作るんだよと
教えてあげてほしい三部作である。


全体的に話が重い。
全体的に絵が暗い。
それは仕方ないと思うし、「聖戦記」にはそれが結果的に求められるのだと思う。
なぜなら、シーザーはまさしく救世主。
人が人を殺めるという原罪・十字架を背負い、
十字架に磔られ、
最後には復活を遂げるのだから。


アクションやSFは観るけど、猿の惑星だけは観たことないんだ
という人にこそ見て欲しいシリーズです。
CHACO

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