Kevin

ぼくとアールと彼女のさよならのKevinのレビュー・感想・評価

4.3
他人との深い関わりを持たないように高校生活を送るグレッグ(トーマス・マン)。
彼の趣味は仕事仲間と呼ぶアールとの名作映画のパロディ制作だった。
そんなある日、グレッグは母親から同級生のレイチェル(オリビア・クック)が白血病になったと聞かされ、彼女の話し相手になるよう言われる。
言われるがまま自ら“絶望的な友情”と題してレイチェル家への訪問を日課とするが、次第に本物の友情が芽生え...。

映画愛がぎっしり詰まった青春映画の傑作です。

しかし映画愛がありながらも他の作品とは敢えて違うことをするのが非常に面白かった。
その上ラストの展開にはまんまとやられました。
また、映像,カメラワーク,音楽,台詞のどれもが素晴らしく、感服しました。

誰かがいなくなったあともその人を知ることができる。
例えその人が目の前から見えなくなっても忘れさえしなければいつでも知れる。
自分にはまだ経験が無いことなので何とも言えませんが、確かにそうだなと思えました。
決して〝死〟だけが最期ではないんだと。
ONE PIECEにあった“人はいつ死ぬと思う?…人に忘れられた時さ”の意味がよりわかった気がします。

そういえば自分は以前までは24時間TVを毎年観て、毎年泣いてを繰り返してました。
しかしここ数年は観ても泣けず、というか観てすらいません。
それは腹立たしい程制作側のお涙頂戴を感じるから。
毎年毎年身体障害者や病人を探して何が楽しいのか。
赤の他人である制作陣たちがその人たちの人生に関与する権利があるのか。

と、話が逸れましたが何が言いたいのかというと、そうゆうのを本作に全く感じなかったんですよね。
むしろお涙頂戴を否定してるようにも思えて。
それでかつ泣けるように作られているので脚本の質の高さに驚かされました。
泣けると言ってもちゃんとコミカルな部分も多くあるので鑑賞後の多幸感が半端なかったです。

もしかしたら後半の展開に多少なりとも好き嫌いが出るかもしれませんが、多くの人の心を揺さぶる作品だと思います。

レイチェルのラストの映画を観る眼差しが印象的だったなあ。
Kevin

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