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さらば あぶない刑事のYMKのネタバレレビュー・内容・結末

さらば あぶない刑事(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

鑑賞日16.02.06
小学生の頃の金曜ロードショーの『あぶない刑事』のセッティング率は高いほうだった。VHSへの録画を欠かさず、映画版は『フォーエヴァー』まで全て揃えた。劇場で観るべき映画をテレビでしか観た事がなかった。そんな作品をようやく劇場で観ることができる。それも最後の作品を。個人的にちょっと感動的なシチュエーション。

単なる同窓会作品になるのではと、鑑賞を躊躇したこともあった。05年の『まだまだ』はそんな臭いがしたので一切観ていなかったが、今回は監督に村川透を起用。96年の『リターンズ』以来のあぶない刑事になるが、舘ひろしと柴田恭兵の初期時代から関わっていて、タカ&ユージの最後の作品の監督をするという巡り合わせがファンとして黙ってはいられなかった。同郷の巨匠でもあるし、今までのあぶない刑事をちゃんと見届ける一心で鑑賞することにした。

東映と日テレのクレジットから、二人の登場、そして横浜の夜景の空撮映像。今どきの始まり方にしては昭和感たっぷり。このシリーズの様式美的な始まり方で安心しながら、タカ&ユージはお約束のように派手で無茶な捜査をする。あと4日で定年退職を向かえる状況であってもお構いなし。

後輩として可愛がられた町田も課長へ昇進し、シリーズ初代の近藤課長(故 中条静夫)の真似をするし、それをつっこまれるセリフに愛と敬意を感じる。他にもシリーズの“お約束”を今風に持ち込みつつ、単なる同窓会ではなく本気度のある作品だった。しかし、この見応えはあくまでもファン向けという感じ。

◎ユージ
足が速い特徴を活かした追跡ダッシュシーン。作品ごとにダッシュ距離は短くなっているが年齢を考えればスーツに革靴でかなりのパフォーマンス。他にも跳んだりステップしたり、身のこなしのキレは衰えていない。盗犯捜査のプロでピッキングも得意。スリや空き巣に顔が広いせいか、社旗復帰した若手を気に掛ける人間味を現れるシーンがある。

そして大のお約束カーアクションシーンでは決まって運転手。今回、日産レパード(ゴールド)が復活し大興奮。使用拳銃のコルト・ローマンも健在だが、過去にシーンがあったフルオート火器は確認できなかった。

◎タカ
暴力犯捜査のプロであるため、冒頭の組員と留置所で過ごしていたシーンも納得できる展開。そして捜査する際の女性保護担当。今回は菜々緒が務めるタカの恋人役がそれにあたる。そのためか、口癖の「ベイビー」も封印?

機械系は苦手で携帯電話すら持っていなかったが、今回はスマホを所持しているので時代を感じる。しかしユージに機能の手ほどきを受けるシーンがある。バイクシーンではハーレーにショットガンはお約束。ノーヘル、両手離しスタイルは健在。爆弾処理にも長けているが、今回は爆弾関係は皆無。

そしてあぶない刑事の魅力の要素でもある敵役には吉川晃司。とにかく個性が強い。日系の外国人なので日本語シーンが意外と少ないがペラペラと喋る。そして杖をつくキャラクターかと思えば、ご本人お得意のシンバルキックを駆使したアクションも、バイクシーンも見事。完全無欠のヤバいボスとして君臨していた。

「時代が変わっても俺たちは変わらない」それは今の時代についていけないという言い訳ではなくて、自分のスタイルにこだわって、貫くための言葉。本編でしきりに横浜の空撮が挿まれるが、そんなメッセージが伝わってくる。あの2人の真似が出来ないから、後継者が居ない。後輩だった町田透も現場ではなく課長の立場。顔なじみのメンバーは異動や定年退職している。だから、観終わった今、タカ&ユージの「さらば」に帰り道が凄く寂しい。鑑賞したのがレイトショーだったからというのもある。

「俺たちはアナログ」という過去のセリフがぐっと印象強くなる。アナログだけど真っ向勝負。
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