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スパイダーマン:ホームカミングのYMKのレビュー・感想・評価

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鑑賞日17.08.21
3度目のスパイダーマンなので、クモにかまれるとか、ベンおじさんとか、また振り出しに戻るかのようなイメージだったが、出鼻を挫かれた。基本仕様を既に身に付けているスパイダーマンがアイアンマンと出会った結果・・・というソニーがマーベルと“コラボした作品”という感じ。

これが良い、悪いを意味するわけではなくて、これは変え難い作品の特徴だ。ファンとしてはすっきりとアベンジャーズの一員としてのスパイダーマンが見たい気持ちもある一方、過去のスパイダーマン作品の実績も無下にできないので、水と油が混ざらなそう・・・でも何とか混ざってくれた!みたいな落とし込みが上手くできている。

背景や事情に触れるのはやめて、どうしても本編を見る側は過去のスパイダーマンとの比較を始めるので、なんとかホームカミングは別印象を与えなければいけなかった。そう考えると、アベンジャーズの世界観にスパイダーマンが登場するという絶妙の絡みと、ド定番だったクモやベンおじさんなどのシーンをばっさり切る構成は見事。

新たな力を手に入れるワクワクの代わりに、スタークからプレゼントされたハイテクスーツと、ベンおじさんのような教育者にアイアンマン。それと反面教師的にバルチャーが登場することで、この作品の脇がしまる。このおかげでトム君は天真爛漫にスパイダーマンに扮する事が出来たと思う。

普通に考えてみれば、そこらのガキんちょより特質的な力を持って、正体を隠して人助けを続けているような、かなり意識の高い少年ですよ。そのうえ学業の成績も優秀だし賢い思考を持つ少年でも、リミッターを外してスーツレディといちゃいちゃできるようになったら、頭のネジがぶっとぶように若気の至りし放題になるということですね。自分の行動一つで周りがどうなるか、もうちょっと考えなさいよ。

そんなトム君でもしっかり耳を傾け、自分なりにヒーローや正義について吸収しようとしたオトナがアイアンマンとバルチャー。特にこのバルチャーはアイアンマンに対しても因縁を生んでいる設定があり憎みきれない悪役。力を振りかざし、俺つええええアピールで内輪揉めするわけでもなく、仕事仲間や自分の家族を考えて行動できる人間味あるキャラクター。それをかつてのバードマンであるマイケル・キートンが演じるという素晴らしくニクいキャスティング。 スタークに対しても、選ばれた人間としてピーターは“ヒーローとして”認められたい気持ちが強く現れる。

だからこの映画ではスパイダーマンをヒーローとして見るのではない。むしろ、ピーターと一緒に観る側も客観的に、アベンジャーズとか色々あるけど、それでもスパイダーマンという存在を皆んなで再確認しようよ。みたいな映画だと思う。そんなに堅苦しく壮大な映画ではない。最後はラモーンズの「Blitzkrieg Bop」が流せるくらいの清々しさが待っている!
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