YMK

パワーレンジャーのYMKのレビュー・感想・評価

パワーレンジャー(2017年製作の映画)
-
鑑賞日17.07.15
ヒーロー作品はたくさんあっても、戦隊ものはちょっと新鮮で、アベンジャーズのようにヒーローが集結して集団で戦う描写はあっても、こちらは5人で1つ。

スーパー戦隊シリーズで日本では違和感のない構図でも、こんな洋画が成立したことがどれだけ貴重なことか。なんなら今までのヒーロー作品の場合、巨大な敵であってもそのまま個々で立ち向かうと思うが、ゾードに乗り、わざわざ合体までしてしまう。『パワーレンジャー』の集団性や合体の意味深さを海外ではどう受けているのか興味ある。

スーツ、ゾード、メカなどのビジュアル性の高さは素晴らしい。ちょっと日本で目にしたことありそうな懐かしい骨格に、ハリウッドの技術が肉付けしてくれた。もうゾードじゃなくてZOIDSも登場してほしいレベル。

しかし、話というか脚本が面白くない。変身までが長いのは良いとして、散々待たされた割にはアクションシーンが短いので、全体的に青春映画にヒーローもの要素を付け足した程度。これは全体的にティーン映画のテイストで行こうと決めていたからなのか、それともシリーズの序章的な意味で後の展開が控えているからか。

見終わっても国内ターゲットがどこの層なのかさっぱり分からない。日本のスーパー戦隊シリーズと比較しようにしても、中途半端に出てくる下ネタのせいで子供も喜ばないし、テーマソングが流れるのは良いとして、変身→名乗りの様式美があるわけでもない。ヒーロー作品が腐る程ある市場でわざわざ日本から輸入したヒーローネタを作品にするのは感謝できるが、それを我々日本人はどう受け止めれば良いのか。結局今までのヒーロー戦隊シリーズと比較するしかない。多分、今キュウレンジャーみてる子供は開始30分で寝る。だからこれはちびっこ向けではない。

いやいや、これは変身にたどり着いて絆を強めるまでのドラマがメインだから・・・といっても散々長かったドラマパートの割には5人の接点が偏りすぎて観てる側への情報が薄くて彼らに深く共感できない。ヒーローものでは珍しい、複数人が結束してヒーローを成立させる構図が特徴であると思うのに、なんとなく5人が集まってなんとなく戦っちゃうような印象でまだまだ浅い。

アイアンマン、スパイダーマン、トランスフォーマーなど、他作品のヒーローネタを持ってくるくらいなら『パワーレンジャー』自体も他の作品でワードが出るくらいのビッグタイトルになってほしい。とりあえず試しに映画やってみました感で終わったのが大変残念ながら、キャスト、音楽、ビジュアルと質の高い素材を擁しているので、彼らが今後どう立ち向かうのか見守りたい。
YMK

YMK