広島カップ

忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM #1 入門編の広島カップのレビュー・感想・評価

2.8
忌野清志郎という人間を彼を全く知らない人に伝えるとしたら何と表現したらいいだろうか?
ミュージシャンとしてではなく人物としてですが。

80年代、90年代、2000年代そして最後の武道館ライヴの映像までを集めて清志郎を初めて聴く人も対象にして入門編として編集された本作。

"愛と平和"をいつも当たり前のように言葉にし、あの独特のイントネーションでもって観客に向かって
「アイシテ、マァ~アス」とか
「アイシ、アッテルカァ~イ」などと、大声でまともに口にしたら赤面してしまいそうな「アイ(愛)」という単語を敢えて使用して観客に話しかける彼。
絶えずステージ上でせわしなく動き続けている彼を見ていると、観客に凝視されるのを避けているように見えてしまう。
「何で化粧して唄うのか?」とファンに問われて「化粧して唄ったら売れてしまったので」などと笑って応える清志郎のインタビュー場面も収録されていましたが、あの化粧はもとより、髪型やケバケバしい衣装なども観客から素の自分を隠しているように見えてしまいます。

本作を改めて観ていると、本当にシャイな人だなあと思います。

2000年代、当たり前に歳と苦労を重ねながら成長し魅力を増していった彼。
肉体的に重力に逆らうのに苦労し始めているジャンプが観れる『JUMP』も好きですが、80年代の角が立っている『雨上がりの夜空に』も魅力的です。
その頃の映像資料の画質の悪さが逆にその中に彼のシャイな部分が織り込まれてしまっているように見えてしまいます。

嗚呼…あともう少し、あと10年、20年………(合掌)
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