結湖

追憶の森の結湖のレビュー・感想・評価

追憶の森(2015年製作の映画)
3.4
見終わって思ったことは、海外で「成仏」って概念がわかるんだろうかってことでした。
いや、本編には成仏なんて言葉は出てきませんが、言わんとすることはわかってもらえるかと。
って、ここまで書いて思ったんですが、言わなくてもわかるって文化ですよね。日本人だから日本人にわかる暗黙のルールって、共通する文化があればこそだと。
この映画って日本人なら案外、読めてしまう内容だったように思う。序盤からタクミ(渡辺謙)ってアレなんだと。わかりやすい伏線がいろいろと出てくるし。
なんで青木ヶ原を選んだのかもちょっと強引なような気もするが、この辺は日本人の生死感が反映されているんじゃないかと推測する。おそらく、日本人ならではのあの世に対する概念ありきでこの物語は作られたんじゃないのかなぁ。
なんて、わかったように言ってますが、根拠は全くありませんので、あしからず。
そういえば、どうでもいいのですが、日本の幽霊は文化的に出てくるところが決まってるって、昔、学校で習ったんですよ。
これ、結構、印象的だったので、ものすごく覚えてて、いろんな人に言ってます。
ざっくりいうと、境界です。こっちでもあっちでもない場所。具体的に言うと、橋とかトンネルとか階段の踊り場とか峠もそうかな。日本の古典的な幽霊スポットって、確かにそういう場所が多い。歌舞伎でも人じゃない登場人物は花道の真ん中とかから現れるんだそうです。ちなみに出現する時間も決まってたりすます。夕暮れ時を逢魔が時って言ったりしますよね。昼はこの世、夜はあの世。この世とあの世が出会う時間なので、人ならざるものを見ることがあるんです。
もしかすると、この森も境界だったのかもしれませんね。
2016/05/01:TOHOシネマズ新居浜(字幕)
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