円柱野郎

64 ロクヨン 前編の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

64 ロクヨン 前編(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作は未読。
前後編でそれぞれ2時間映画というなかなかの大作だが、内容も骨太な人間ドラマを感じさせる。
ひとえに主演の佐藤浩市の演技力の賜物だよなあ。
佐藤浩市という役者はどの作品を観ても見た目は佐藤浩市のままなのに、演じる役の人間というものがにじみ出てくる良い役者。
今作でも主役の三上という複雑な人物像がとてもよく伝わってくる。
脇を固める役者陣も演技巧者な人ばかりなので安心して観られるね。
(瑛太と滝藤賢一も憎らしい役を憎らしく演じていて…いいよw)

この前編でのクライマックスは、広報官として、そして三上個人として記者クラブで方針を伝えるシーンになるが、個人的にはその場面よりも被害者宅の仏前で三上の想いが込み上げるシーンが良かったなあ。
フラッシュバックはベタだけど、あの場面では分かりやすくて効果的だったと思う。
逆に記者クラブでの老人の足跡のイメージは、あえて語りだけでも良かったような気もしなくもない。
まあここは分かりやすさ優先か。

主人公の三上は地方(群馬?)県警の広報官という役職で、警察モノの主役としてはなかなか珍しい設定だよね。
警務部長と記者クラブの間で板挟みになっている感じや、元刑事としての思うところなど、警察内での様々な思惑に翻弄されている部分が一つのドラマ。
記者クラブとの軋轢は興味深かったが、今どきはこんなにギスギスもしてないんだろうなあ、とも。
前編はそういった警察内での話の合間に事件(ロクヨン)の事実が断片的に見えてきて…後編に繋がる、という筋書きなので、時効さし迫る事件自体には何も進展はなし。
基本的に事件については後編に向けての伏線を張ってるだけかな。
なので、前編で重要なのは三上の人としての決意が描かれているところ。
そこに佐藤浩市の演技と相まって説得力が生まれていたと思う。

前編のラストはロクヨンの模倣事件が発生したところで幕を閉じる。
後編も楽しみなクリフハンガー。
ただ、後編の予告をエンドクレジット前に入れるのは、あんまり好みじゃないかな。
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