コマミー

怪物はささやくのコマミーのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.9
【真実の数だけ強くなれる】
 
  [気まぐれ映画レビューNo.39]

※日テレの「映画天国」にて本作が放送されてましたので、ざっとレビューします。


今週金曜に「ジュラシックワールド炎の王国」が金曜ロードShowにて放映される。その監督"J・A・バヨナ"だが、初めて聞いた人は「誰?」と思った事だろう。実は、デビュー時から良作を叩き出している"スペインの天才監督"だ。
「永遠のこどもたち」で「シックスセンス」さながらの衝撃と感動が入り交じったホラー映画を作り、その後同じ脚本家と共にスマトラ沖地震の被害者の実体験を基に作ったドラマ映画「インポッシブル」と言う傑作を叩き出した。双方共に、スペインのアカデミー賞「ゴヤ賞」にノミネートまたは受賞されている。

両作共に素晴らしい物語で、特に「インポッシブル」はもろに自分の涙腺を刺激した作品であった。そして今回の「怪物はささやく」も、とても[残酷]ながらも心に残る作品になっている。
先程「残酷」と言う表現をしたと思うが、本作は決して美しくはないとは言い切れないが、"無機質な物語では決してない"と言う所だ。
「パンズ・ラビリンス」の内容を知っている方なら、きっとビビッとくる作品かもしれない。主人公の母親は、癌を患い、"死が近い"。心身共に孤独な主人公は、悲しさを誤魔化すために、母親が元気だった頃の思い出に耽っていた。そんな中、真夜中を過ぎると主人公の目の前に木に扮した"怪物"が目の前に現れるようになり、怪物に「真実を語れ」と投げかけられる。

主人公のコナーは、突如現れた怪物に、「自分の真実を語れ」と言われる。その真実が暴かれる度、なぜ目の前に「怪物が現れたのか?」と言う"さらなる真実"が明らかになるのである。
その真実には、少年コナーの"飛躍"が込められているように感じたし、その飛躍を目の当たりにした瞬間、涙が自然と零れ落ちた。

少年の真実を通して、少年自身が成長していく物語…。

それが本作なのです。
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