ベルサイユ製麺

アメリカン・バーニングのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

アメリカン・バーニング(2016年製作の映画)
2.9
ユアン・マクレガー…監督作!観ます!
そもそも監督してたの知りませんでした。ジャケのダコタ・ファニングがフェティッシュで格好いい!耳たぶくらい平気で引きちぎってきそうです‼︎『アメリカン・バーニング』なんてタイトルですが、枝切り鋏とかは出ませんね。 原題は『AMERICAN PASTORAL』直訳すると“アメリカの牧歌”って感じかしら…。自身無いです!

60年代、アメリカの保守的な田舎町。超スポーツエリートでイケメンでボンボンのスウィード(ユアン・マクレガー)と超ルックスエリートのドーン(ジェニファー・コネリー)は娘の天使ちゃんメリー(ダコタ・ファニング)と幸せな家庭を築いていました。メリーは吃音があるものの前向きで、それすらもチャームに変えてしまう様な雰囲気です。ただ、彼女は思想も振る舞いもあまりにも純粋で、時に大人達を困惑させます。ある日テレビでたまたま見た、チベットの僧侶の焼身自殺の映像をきっかけに、彼女は完全に思想家のスイッチが入ります。極左・反政府・黒人解放・革命…。
思春期、どうにも両親の手に負えなくなった彼女は、平和は田舎町を震撼させる大事件と機を同じくして姿を消します。


…といった導入です。以降スウィードの、娘を探す日々が描かれます。重暗い…。原作は有名小説なのだとか。
本当ーっに救いの無いお話は個人的には凄く好みで、60年代のアメリカに中途半端な救いなど差し伸べられないべきだとも思いました。完全にタイムスリップしたような美術は(平均点くらいですが)素晴らしいです。オールドファッションを齧りたくなる感あります。ミスドのコーヒーでおかわりをスマートに頼む方法誰か教えて下さい。
映画全体で見ると…、俳優による監督作というのが無意識ノイズになっているのか、正直あんまり上手くないかなー?って感じてしまいました。全体的にべたーっと進行してしまう雰囲気で、重要なシーンが目を引かないのです。ショット単位でも心を奪われる様な瞬間は訪れなかったかな…。
致命的によく分からないのが構成で、“45年振りに同窓会を訪れた著名作家が、スウィードの弟から聞いた、スウィードが亡くなるまでの話”という体裁をとっています。…何故?スーパーマリオやろうとしたらピーチ姫がルイージから聞いた兄の活躍ストーリーなのですが…っていう体でテレッテッテッテテー♪って始まるみたいの、まどろっこしいよ!ノベルスでは効果的なのかもしれませんけど、映画にするなら多少改変しても良いのでは?というか、ノベルスで読んだ方が面白そうだな…なんて思っちゃいました。サム・メンデス位の力量が有れば別ですが。
ユアン・マクレガーの演技もベストとは言えなくて、自身が思ってる自分と、周囲のイメージには開きがあるものだなぁと思い知らされます。今暫くは俳優に専念するべきかと。
ダコタ・ファニング、余りに痛々しい…。ショウビズの世界に飛び込んだ彼女の内面を描いているのでは?と創造を逞しくしてしまいましたよね…。