ねまる

ゲキ×シネ「阿修羅城の瞳2003」のねまるのレビュー・感想・評価

4.0
『阿修羅城の瞳』は映画版と舞台版がありますが、やっぱり舞台版。

新感線で軽さと重さを同時に表現できるのは、古田新太と当時市川染五郎(10代目松本幸四郎)だけですね。
どちらかといえば軽さ寄りで、軽さとかっこよさを両立させられる古田新太と
どちらかといえば重さ寄りで、心を掴むしんどさと色気を出せる市川染五郎。

新感線はいのうえ歌舞伎のファンなので
笑いもロックもに面白いけど、真面目で重いのが好きな民は染五郎作品好きなのばっかりです。
ありがとう。

『阿修羅城の瞳』は脚本の中島さんいわく、完璧に磨き上がった形で降りてきた、どこに出しても恥ずかしくない宝石。
(比べて『髑髏城の七人』は原石で、磨き方によって輝き方が変わったり、変えられる余白がある作品なんだってさ)

市川染五郎×天海祐希ってだけで、正解な気しかしませんが、
思ったより世界観はエキセントリック。

初期の新感線らしく、ロックのテイストが強く残っているので、鬼のビジュアルとかがかなり怖かったり、世界観はダーク。

江戸時代、街に鬼が蔓延っていた頃のお話だからね。
鬼陣営の美惨を演じた夏木マリがまた妖艶で世界観が深まるよね。

いのうえ歌舞伎にはめずらしく、一番の主題は愛。
同じく天海祐希の『蒼の乱』も松ケンとの愛はあるけど、あれの主題は国だから。

天海祐希×新感線は、圧倒的な美しさとかっこよさで完璧なんだけど、
この作品の天海さんがNo.1になりました。

可憐な町娘姿が可愛らしくて、阿修羅への変化、阿修羅になってからの表情が素晴らしい〜。

劇団員を除いたら、最強客演な市川染五郎×天海祐希の愛と悲しみと宿命の、言葉と表情が一致しない、感情のぶつかり合い…
それに尽きる。

物語の本筋をちゃんと率いる天海さんだから、
主役の染五郎が軽さパートで笑いを取れるんだろうね。

抜刀斎のじゅんさん、まさとさん川原さんたちの3人衆、桃姫の聖子さん。
劇団員の誰が出てきて絡んでも面白い!

小市慢太郎さん、近藤さんあたりの脇役たちもキャラクターが良くて愛着が…

あ、あ、あ、触れるの忘れてた!
邪空!伊原剛志!
邪空がいることがまた、この作品のいいところ〜。伊原さんの立ち姿がまたかっこよかったです。
2000年版の古田さんも見てみたいなぁ。

古田さんも粟根さんもいないのにめっちゃ良かった脇役陣を書くのがこんなに遅くなっちゃうくらいね、本当に主役二人が、素晴らしいのでした!

新感線にありがちなんですが、早口でネタが挟まるので、なんて言ってるか分からないとこ多々あって、
何度も何度も観るうちに、もっと深く理解出来たらいいな!
ねまる

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