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揺りかご
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『揺りかご』に投稿された感想・評価

'1931、ジャン・エプシュタイン。
トーキー最初期に撮影された、『ブルターニュの詩』に連なる作品である。
エプシュタインはトーキー導入にあたり、当初より役者の音声を録音するのではなく、本作、及び『Mor Vran』にて詩曲を映像で語ると云う作風を試みており、その融合は後作『Chanson d'ar-mor』に於いて結実する。

原詩は仏高踏派の詩人にして初代ノーベル文学賞を受賞したシュリ・プリュドムによる『Les Berceaux(揺りかご)』。
楽曲はガブリエル・フォーレである。

本作に於いても、作中ではこれと言ったドラマは起こらない。
ただ女性が揺らす揺りかご、帆船、旅立つ男性、そして遠のく港がメランコリックな曲調、切々とした歌声に乗ってゆったりと映し出されるのみである。
この為混乱を来たす例も多いが、本作は先述の通り元来がPVであり、詩曲が主体となる。
その映像、ドラマから何かを感受してゆく体の作品ではなく、詩に謳われる心情に共感を覚える事で、より深く映像に意味を持たせてゆく作品である。

この一点に於いて、私は本作をエプシュタイン作品中の特異点であると断じ、偏重するのである。
川
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https://www.cinematheque.fr/henri/film/84561-les-berceaux-jean-epstein-1932/

Sully Prudhommeという詩人の詩にメロディをつけて歌われた曲に映像を当てたもの。ジェルメーヌ・デュラックが前年に『Celles qui s'en font』で既存曲に映像を当てていたのを考えると、これがトーキー移行時の実験的な手法の一つだったのかもしれない。

詩の内容は、生まれたばかりの子供と妻を残して海へと旅立っていく男が、その船から妻の揺らす子供のゆりかごへと思いを思いを馳せるというもの。

映像はそれに応じたものとなっていて、妻と子供よりも旅を優先したことを後悔する話のように感じられるが、ラスト近くに十字架のショットが挿入されることによって、一気にその旅に死の印象がまとわりつくようになる。そして、最後に映る船はもはや旅に向かうものというよりも死に向かっていく幽霊船のように見える。

それによって、船出についての詩から、妻と子供を残して死にゆく男についての詩としてより普遍的な意味を持つようになる。おそらくこの映像による詩の意味の普遍化が狙いだったんじゃないかと感じた。
シネマテークフランセーズ、太っ腹。

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