emily

ヒメアノ〜ルのemilyのネタバレレビュー・内容・結末

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

清掃のバイトをしてる岡田。その同僚で先輩の安藤が、片思いしているユカの働いてるカフェで、岡田は高校の同級生の森田と再会する。安藤の話では森田はユカのストーカーらしい。安藤と岡田とユカには平穏な日常があり、安藤に隠して二人は恋人同士になる。幸せな日々が続いていたが、そこに森田=サイコパスの日常が絡んでいき、一気にその日常が壊れていく。

初めに岡田と安藤とユカの恋愛物語が繰り広げられる。たわいもない会話に笑ったり、岡田の初エッチだったり、淡い恋物語にキュンとさせられる。ほのぼのした物語をしっかり描けば描くほど、観客は感情移入させられるので、そのあとの森田の殺人狂の真逆の物語の残酷さを肌で感じる事となる。

タイトルコールもラブストーリーの人間像を描き切ったところで始まる。当然このラブストーリーでは終わらない。今まで笑顔で見守ってきた物語が一気に森田の過去の話になり、恐ろしいまでも見事に人を殺していく。笑顔だった観客を一気に突き落とすように一気に寒気を覚えるような恐怖が襲ってくる。容赦ない残虐な殺人だ。そうして必ず女にはレイプのおまけもついてくる。森田にとっては、人殺しも性欲をみたすものと同じで、心のガソリンみたいな感覚なのだろう。だから殺した後、平気でカレーも食べられる。

人に痛みを与える事でしか、自分の抱えてる物から解放されない。それは生きるための手段のように思える。でも本当は”いい奴”なのだ。彼のトラウマは高校時代のいじめで、そのいじめは今まで見たものの中でも本当に陰気で、森田がそのトラウマをずっとひきづってしまうのも納得ができる。

森田も岡田も、みんな弱者なのだ。
高校時代あの時すーっと手を差し伸べてあげることができていたら、森田サイコパスは誕生しなかったかもしれない。それが岡田サイコパスだったかもしれない。そのトラウマは人を狂わす。それがいい人であればいい人であるほど、弱者であれば弱者であるほど、狂ってしまったときは手が付けられない事になる。人生とは選択の連続だ。たった一つの選択が誰かの人生を狂わす事がある。もちろんサイコパスにまで落ちる人は多くないかもしれない。でも落ちるときは一瞬なのだ。幸せな瞬間も一瞬なように・・
emily

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