結湖

バリー・シール/アメリカをはめた男の結湖のレビュー・感想・評価

3.8
面白かった。面白かったんだけど、なんだろう、予告からの印象ほどスカッと終わらない。案外、考えさせられる内容だったなぁ。
まぁ、実話だし。そんな、なにもかもうまくいくわけないよなぁって気もする。先が読めるラストといえば、そうなんだけど。つまり、バリー・シール(トム・クルーズ)がアメリカをはめてる感はほとんど感じない。邦題、失敗してるよ。彼は破天荒ではあるけど、アメリカのほうが上手だったし、ハメられたのはバリーだったよ。つまり、原題の『American Made』のほうが映画の内容に合ってるし、ぞわっとするタイトルでもある。
というか、本当にゾッとするんですけど、これ実話なんでしょ?
あの、”アメリカ”の『目的のためなら、手段を選ばない』感がパネェんですよ、うわ~~~!!
『手段”は”選ばない』んじゃないんですよ、『手段”を”選ばない』だと思うんです。日本語不自由なんで、アレなんですが、わかってもらいたい、この違い。
破天荒さと荒唐無稽さだけを目的で見ると、ちょっとラストは消化不良かもしれないが、まぁ、そうなるよねって最後でもある。
実話でこんなことがあるんなら、他の映画で描かれている荒唐無稽なアクション映画ってあながち現実離れした話でもないんだなぁって思ったり、こんな風にエンタメにしてしまうのも、さすがショービズの国”アメリカ”だなぁって気がします。
けれど、これが実話だってことが重要で、世界の警察なんて言っていたお国が『正義』って一体なんだろうってことに揺らいでる証拠かなぁとも感じられました。
例えば、近年話題になった実話ベースの社会派映画(例えば、『ブラックスキャンダル』『スポットライト』とか)が汚職や隠ぺいだったりして、自分の国の後ろ暗いところを描いてるものが多いんじゃないかと。(私が知らないだけなのかもしれませんが)
それが、レーガン大統領時代の話だったりするんですよね。派手で強い印象だったあの頃のアメリカ。確かにそうだけど、光が強いと影もひときわ暗いってことを証明したような映画でした。

2017/10/21:TOHOシネマズ新居浜(字幕)
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