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現代ポルノ伝 先天性淫婦のshishiraizouのレビュー・感想・評価

現代ポルノ伝 先天性淫婦(1971年製作の映画)
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『温泉みみず芸者』『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』から休みなく製作された鈴木則文・天尾完次・池玲子主演第3作は、池玲子の代名詞“ポルノ”がまんま題名に入った。『色情日記』のサンドラ・ジュリアンを起用し、〈日仏人気ポルノ女優の共演〉との話題性に期待をかけた。

古都・京都での撮影に魅力を感じて出演を快諾したサンドラ・ジュリアンは〈洛西嵐山の山々がようやく紅葉に染ま〉る10月、撮影所にやってくる。案内役となったのは通訳女史と名和宏であった。彼女は時代劇の撮影をみてその扮装に憧れを募らせ、それがのちの『徳川セックス禁止令 色情大名』出演に繋がったという。

サンドラの出演シーンは、そのまま全部カットしても物語に何ら影響ない寄り道に用意されている。
洋一郎(宮内洋)の出張先、趣のある宿に今カノ池玲子がゆくと、元カノのサンドラと鉢合わせ。洋一郎は学会の急用で一泊二日留守に。夜、サンドラ淫夢で入れ墨姿の三人の男性との絡みの見せ場、意味も必然もないがサッパリしたもの。起きてきた池玲子がキャラ変したみたいに様子がフレンドリーになり取って付けたレズシーン開始。事が済んだあと、布団に仰向けに並列して入って寝ている二人が可笑しい。

聖書の教えに身を律された女学生が、男たちによって堕ちてゆく女の一代記。せわしない物語を生真面目に追ってゆくためアソビが少なく、無意味なサンドラパートが最大の可愛げ。池玲子も案外旧弊な女性像で破壊的な元気はなく、暗いトーン。鈴木則文による池玲子のデビュー後主演4連作のうち、もっとも世間的なポルノのイメージに近い映画でしょうか。
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