盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が手掛けた事件が描かれる。
軍事政権下での思想弾圧。だが、登場する公安警察が語るように、北との「交戦状態」だからこそ、そうしなけらばならないという正義感がさせたのだ。
税務専門で成金主義の弁護士が、読書会をしていた学生への不当逮捕をきっかけに社会派へと変わっていく。
ソン・ガンホは『タクシー運転手』ではユーモアのある庶民運転手を、『密偵』では日本軍に協力する密偵とその苦悩をシビアに演じ、ここでは後の大統領となる高卒の弁護士をまさに熱演している。
「韓国の至宝」と呼ばれるのも頷けるものすごい演技だ。
そして何よりも、ここまで国家や権力の不正を描けるものだ。日本では2016年公開だが韓国では2013年だったからだ。
何と朴槿恵(パク・クネ)政権下だ!
忖度、自主規制、政府発表寄りの報道がますます進んでいる日本とは大違いだ。
そして、こういう作品に出演する(し続けている)ソン・ガンホには敬服する。