前方後円墳

LOVERSの前方後円墳のレビュー・感想・評価

LOVERS(2004年製作の映画)
3.0
作品の基本は武侠アクションだが、テーマはラブストーリーとなっている。
劉(アンディ・ラウ)、随風こと金(金城武)、そして小妹(チャン・ツィイー)の三角関係がクライマックスに向かって拡がっていくのだが、中盤まではその気配はなく、それぞれがそれぞれの思惑の中で物語が展開していき、騙し合いに近い仕掛けとその伏線のはりかたは脚本としては上手く出来ている。最終的にはありきたりの結末となってしまい、あまり記憶に残らないものの、多少の切なさは感じられるのでそれなりに楽しむことはできる。大作ながら突出したところがないという印象だ。
見どころがあるとすれば、原色を多用した美術と景色、そして袖で鼓を打ち鳴らしながら踊るチャン・ツィイーの舞のシーンである。美麗な景色に溶け込むような衣装と流れるような武術は完全に芸術的と言っていいほどの鮮やかさを持ち、映像に釘づけになってしまう。