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ディーパンの闘いのKSatのネタバレレビュー・内容・結末

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

それぞれの家族を失った元反政府軍の兵士と女性、少女が疑似家族となり、フランスに難民として逃れてからの生活と「闘い」を描く。

暗闇の中からネオンカラーの猫耳がいくつも現れるタイトルが素晴らしい。

演出はかなり優等生タイプではあるものの、ジョークを解せないディーパンとそれを笑うヤリニのやりとりやシャワーを浴びるヤリニを意識してしまうディーパン、母親になり切れないヤリニを諭すイラヤルなど、温かみのあるシーンはいつまでも観ていられる。

だが、途中でかつての同志に出会ってしまったことから一変。ディーパンは静かに狂ってゆく。人を殺したという過去に苦しむのだ。この瞬間から、ある種の闘争本能が再び目覚めてしまう。

その結果、愛する「家族」を守るため、彼は武器を奪って文字通り「闘う」のだが、その結果、全員が絵に描いたような「楽園」に行き、ハッピーエンドを迎えてしまうところに大きな矛盾を感じてしまう。

自らの権利と愛する者のために闘うことの正義を描きたいのか、暴力による静かな狂気と消えることのない罪を描きたかったのか。途中と最後で丸っきり違うことを言っていて、説得力がない。
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