和桜

神のゆらぎの和桜のレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.9
グザヴィア・ドランが出演を熱望したという群像劇。エホバの証人を信仰する男女を始め、不倫、アルコール、ギャンブル、ドラッグといった様々な背景を持つ人物達が絡み合っていく。神の存在を問う上で、時間を前後させる主役不在の群像劇という様式が皮肉なほど噛み合ってる。
ありきたりな台詞にも意味を持たせるのが物語の力で、「飛行機が落ちるのは全能の神が存在しないからだ」という類いの詭弁は聞き飽きたとも言えるが、この物語の中では重く響く。揺らいでいるのは神ではなく人。
原題は『奇跡』で、それに対する人間のあり方を描いているのも事実なので凄く良い邦題だと思う。どれだけ格好良くても、解釈を狭めたり考えを押しつけてくる邦題は嫌いなんだけど日本語に上手く落とし込んでる。それだけにジャケットのドラン推しは謎。彼が主演なわけではないから肩すかしを食らう人も出てきちゃう。
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