磨りガラスに覆われたような村。
母譲りの美貌を持つ少女。
死んだ魚の淀んだ臭い…
ただ単に、セクシュアリティの覚醒を描くだけじゃなく、その他作品と一線を画したのは "負のレッテル"を描いたとこ。その表現が哀しく美しいのは、
どのような自分であっても、純粋な心で「きれいだ」と囁いてくれる人から愛されたい想いにも目覚めたから。
終始、暗いイメージだったのに、エンディングに大好きなMØちゃんの "The Sea"が爽やかでラブリーなもんだから、めちゃ陶酔。
ここからはネタバレ。
見ても良いな、と思う方だけ進んで下さいね。
⋘ネタバレ注意⋙
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「私が怪物になってしまう前に抱かれたいの」
男性支配の閉塞的な村はまるで曇った空気に纏われているように見え、そんなとこだと秩序を脅かす女性の美貌は畏怖でしかないのかもしれない。
美しさゆえにレイプ被害にあい、自己防衛からロシア人を殺してしまったママ。
その美しさを継ぐマリーの魅力は、この村には異質であり、恐怖の対象になりかねない。
でも逆に、その個性を守るマリーの闘い自体がマリー自身にとっての恐怖そのもので、
ダニエルに言った「私が怪物になってしまう前に」とは、"誰かに襲われて純潔を失う前に"ということを含んでいたのかも…
様々な構図で、良くも悪くも男性監督なりの敬意と慈悲、思い至らなさを感じて、モヤッとしたのも正直なところ。でもそれが "ならでは"な表現力ならば、評価するとこなのかな。(これもレッテル?)
So come along with me
'Til we break and flee
Cause I can't stop following dreams
We’ll rise in waves and waters
In the sea, you will carry me
─────── "The Sea" MØ
最高に、魅力的に、この世界観を歌ってる。