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グランドフィナーレのRのレビュー・感想・評価

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
4.6
ソレンティーノ監督初体験で、勝手にものすごい重厚な作品だとイメージしてて、うおおお!見るぞおおおお!と意気込んで行ったら、意外や意外。ものすごく軽いタッチで驚いた! 軽いってか軽やかってのが近いかな。映画会社のロゴが出るとこから音楽がめちゃめちゃよくて、ん! 既に良し!と心でわめき、ワンショット目から、この上なく甘美な映像が流麗に移変わる。目がとろけるかと思うほど。その後も全編至高なレベルで視覚と聴覚がエクスタシー。すげ。映像の魔術師と呼ばれる所以はまさにこれか! と歓喜にふるえるカメラワークと編集。今まで敬遠していた自分の愚かさに悶えました。見ますソレンティーノ。前半は予想とは全然違ったコメディで、隅々にユーモアが込められてて、クスクス笑えるシーン続出。セレブ達の療養ホテルを舞台に、マイケルケイン演じる引退した音楽家とハーベイカイテル演じる現役の映画監督が、キラキラした老境の男子2人のからみを見せる。80歳になってもう終わりを待つばかりの音楽家が、映画監督やその他様々な滞在客と関わることによって、まだまだそこから始められるストーリーがあることに気づき、青春を取り戻すまでのプロセスを描いてる。ポスターなどから受ける富裕なインテリの気取ったイヤミなエレガンス映画では全然なかったよ。老いた少年2人が、小便がでねー、昔が思い出せねー、美女の裸すげー、とかグダグダ言うてるのがとても可笑しかった。とは言え、後半は80年という過去の道のりの重みがずっしりとのっかかるシリアスな展開になり、ものすごく深いふたつの哀しみと対峙したのち、感動のフィナーレ! でもグランドでもフィナーレでもない! 小さいけれどはじまりなのだよ! 最後の歌が始まって、タイトルが出てきたときは、感動で涙がボロボロ出てきた。で、最後のカット。たまらんかった! そーいう話でもあるのね。ホントに豊かな豪華な映画だった。とにかく主演の2人が最高。こういう良さの感覚って女にも分かるのかなー?とちょっと思った、コアの部分がめちゃめちゃ男の話だよね。若干過剰かなぁと思う演出もあったけど、この辺は好みのレベルかと。総じて、大変満足度の高い作品でした。これおうちで見なくてよかった。絶対大画面大音量の映画館で見るべき映画だと思う。煩悩菩提、死ぬまで現役だな。また見よっと。
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